健康ニュースBacknumber

健康教育ニュース バックナンバー NO.23~

健康教育ニュース NO.23   健康づくりへ連携会議  2018.5.26

厚生労働省とスポーツ庁は、スポーツを気軽に楽しみながら健康づくりをする効果的な施策を探ろうと、両省庁のノウハウや情報の共有を強化する初の連携会議を設置する。スポーツを通じた生活習慣病の予防などについて取り組んでいく。スポーツ庁では、競技力向上に向けたスポーツ医学の充実も図っていく。トップアスリートの栄養摂取やトレーニング法を見直すとともに、国民の健康増進や病気予防の取組にも力を入れていく考えである。

健康教育ニュース NO.24   子供とカフェインについて   2018.6.2

カフェインの子供への影響は、データが少なく、日本には摂取量の基準はありませんがカナダでは以下の基準を設けています。
*カナダ保健省 
子供におけるカフェインの一日あたりの最大摂取量㎎4~6歳 45、
7~9歳 62.5、10~12歳 85、13歳以上 体重1kgあたり2.5
ちなみに、レギュラーコーヒーは100mlあたり約60mg、
紅茶は100mlあたり約30mgです。

健康教育ニュース NO.25   近視者の増加は世界共通の課題  2018.6.6

今、近視は世界中で25歳以下の人々の間に確実に広がっています。特に、アジアの先進国では、若者の80~90%が近視になっているというパニック的な状況の地域もあります。近視は、眼球の変形によって、網膜に届く画像がぼやけてしまうことにより起こるといわれています。世界中の科学者たちが危機感をもって近視の研究を進めています。近視の原因の一つは遺伝的要素です。そして、姿勢の悪さ、さらに、近くの物を見続けるということです。しかし、完全に近視の原因が解明されたわけではありません。今、注目されているのは、屋外で過ごす時間が長い子供ほど、近視になりにくいという研究報告です。それは、日光が近視を防いでいるのではないかというものです。日光の中の波長の短い光は、網膜のドーパミンを活性化し、眼球が伸びるのを防ぐ働きをしているという研究です。(オハイオ州立大学ドナルド・ムッテイ教授他による)さらなる研究の進展が期待されます。

健康教育ニュース NO.26  将来の目標が明確な子は自己肯定感が高い 2018.6.8

東京大社会科学研究所他の調査(2015~2017年、全国の小4~高3の児童生徒と保護者約2万1000組対象)によれば、将来の目標が明確である子は、自分には長所があると46.1%の子が回答している。それに対して、将来の目標が明確でない子で、自分には長所があると回答した子は、16.9%であったということである。

健康教育ニュース NO.27 「学ばなければ成長はない」 R.Johnson 2018.6.10

今年の春、元メジャーリーガー、ランディ・ジョンソン投手(46歳まで現役、通算303勝、最高球速164km,40歳で完全試合達成等)による日本の中学生投手への指導が行われた。冒頭、子供たちにジョンソン氏は「最高の選手と普通の選手」どちらになりたいかと問いかける。子供たちは皆「最高の選手」と答える。それを受け、次のように指導している。最高の選手をめざすならば、苦しい練習から逃げてはいけない。速い球を投げたい気持ちは分かるが、焦らず、今は基本の練習を積み重ね、自分に適した理想のフォームをめざすべきだ。将来、けがをしないための体づくりはとても重要だ。肩は消耗するもの、たとえ練習であっても一球一球大切に投げなければならない。*今日現在大谷選手をはじめ日本人メジャーリーグの投手5人が、けがで故障者リストに入っていることを考えると、将来ある子供たちへの重要な提言といえる。さらに、指導者に対しては、「no」からではなく「good」から入る指導,正しいトレーニング法による指導を心がけるべきで、「目標達成には近道はない。自分の課題を一つ一つ解決していくために全力で練習する」「学ばなければ成長はない」ことを常に意識させてほしいと語っていた。

健康教育ニュース NO.28  世界保健機関「うつ病」について   2018.6.11

世界保健機関(WHO)は、世界でうつ病に苦しむ人が推計で3億人を超えているとしている。2005年から約18%以上増加していて、若年層の自殺増にもつながっていることから早急な対策が必要だと指摘している。このような状況から、WHOは、2017年の世界保健デーのテーマを「うつ病」、スローガンを「うつ病:一緒に話そうDepression: Let’s talk」として、うつ病について啓発し、うつ病対策(予防、診断、治療、ケア)を推進してきた。現在、アメリカ等の諸外国では、うつ病について次のように言われている。「たとえ成功者であっても、うつ病から逃れることはできない」「笑顔であっても、その人が幸せとは限らない」うつ病には、周りの人の支えが必要である。そのために、これからも一般の人のうつ病への理解が進むよう、幅広い年齢層への啓発が求められている。

健康教育ニュース NO.29 健康寿命を延ばすために   2018.6.14

長寿社会のなか、一人一人がいかに健康寿命を延ばしていくかが課題となっている。それは寝たきりにならず、できるだけ長く、活動的に生き生きと生活することできるかである。そのためには、どのように行動すれば良いか。まずは、良質な睡眠をとることである。良質な睡眠により脳の老廃物であるアミロイドβを除去することができるといわれている。次に、体の抵抗力を高めるため、適度な(有酸素)運動をすることである。さらに、筋肉を維持するため、良質なタンパク質を摂取することである。そして、今一番注目されているのは、人に優しくする行動、人の役に立つ行動である。人に優しくすることで免疫力が高まり、ストレスに対抗するホルモン「セロトニン」が分泌されるという研究が進められている。また、感謝することで幸せホルモンと呼ばれる「オキシトシン」が分泌されるともいわれている。 良い睡眠、適度な運動、良質なタンパク質の摂取、人のための行動を心がけたい。常にありがとうの心で。       

健康教育ニュース NO.30  むし歯がある子供の半数以上が未受診 2018.6.17

全国保険医団体連合会の、去年までの6年間、21都府県小学校約3300校での調査によると、学校歯科検診でむし歯等が見つかり治療が必要と診断さた子供のうち、52%がその後も歯科医院での受診をしていないことが分かった。さらに、調査をした小学校の約40%で、むし歯が10本以上あるなど食べ物をかむのが難しい状態まで口腔の状態が悪化している子供がいることが分かった。多くの学校は、治療を受けない子供がいる理由として、経済的な問題や保護者の関心の低さを挙げている。子供たちの口腔衛生管理の重要性を今一度教職員や保護者に啓発する必要があるであろう。

健康教育ニュース NO.31  WHO「ゲーム障害」を新たな疾病と認定 2018.6.20

世界保健機関(WHO)は「国際疾病分類」を28年ぶりに改訂して、オンラインゲームやテレビゲームの依存が1年以上続き、日常生活に支障を来すような状況を新たな疾病「ゲーム障害」(ゲーム依存症)と認定した。これまで正式な病名はなかったが、国際的な標準となる病気の分類に盛り込むことで、各国で診断例が増えて研究が進み、治療法が確立することを期待してのものである。

健康教育ニュース NO.32 パラトライアスロン・トライアスロンに挑む 2018.6.24

2020オリンピック・パラリンピックに向け、選手のトレーニングが続いています。そのなかで、パラトライアスロン日本代表秦由加子選手とトライアスロン日本代表上田藍選手の様子が紹介されました。秦選手が心におく言葉は「今あるものを最大限に生かす」です。トライアスロンを始めて秦選手は、義足が「かっこいい」と思えるようになり、今は、金属の義足の骨組みが見えるようにして外を歩いています。一方、トライアスロン上田選手の言葉は「向上心に限界はない」です。けがを乗り越え努力を続ける人、上田選手にふさわしい言葉だと思います。    

健康教育ニュース NO.33  こどもとおとなのワクチンサイト 2018.6.27

日本プライマリ・ケア連合学会は先頃、麻しんや風しんなどに対し必要な予防接種についての情報をまとめた「こどもとおとなのワクチンサイト」を公開しました。年代別にどのようなワクチンをどれくらいの間隔を空けて、いつ頃何回接種すればよいか、一覧表に分かりやく整理されています。麻しんなどで自分が足りていない予防接種はないか、チェックできるようになっています。

健康教育ニュース NO.34 子供とカフェインについて 2  2018.7.1

子供は体が小さく脳機能が発達途中にあるため、カフェインの過剰摂取で脳の発達に悪影響を及ぼす可能性があるとする指摘もあります。日本には摂取量の基準はありませんが、カナダでは基準(基準の値は健康教育ニュースNO.24参照)を設けています。*以下、100ml中のカフェインの量(mg)コーヒー60 紅茶30,緑茶20,ウーロン茶20,ほうじ茶20,コーラ10,エナジードリンク32~300,麦茶0 (農林水産省資料・文部科学省「日本食品標準成分表」から)詳しくは「食育」のページ↑へ

健康教育ニュース NO.35 クラシックバレエと健康づくり   2018.7.2

先日、ご招待を受け、大ホールの中央から、2時間ほどクラシックバレエを鑑賞させていただきました。園児から大人までの演技は芸術性に富み、体づくり・健康教育を感じさせるものでした。最近では、正しい姿勢を保つことができれば身体の機能が向上し代謝が良くなるとされ、つま先立ちし背筋を伸ばして体幹を鍛える運動方法も推奨されています。クラシックバレエの基本動作「プリエ」は両足のかかとをつけ、つま先を開いて直立した姿勢から膝をゆっくり屈伸させ、左右に広げた手は円を描く運動です。傾いた骨盤を立たせ、股関節を柔らかくするなどの効果が期待できるといわれています。また、「タンデュ」、「デガジェ」等の動作も筋肉のストレッチや筋力アップにつながり、体のバランス(姿勢)が良くなったり、歩き方がきれいになったりする効果が期待できるといわれています。いずれの動作でも、けがの防止に配慮して運動することが大切です。    

健康教育ニュース NO.36  夏休み前の睡眠教育   2018.7.5

経済協力開発機構(OECD)が今年発表した調査によると、日本人の平均睡眠時間は 7時間22分で調査対象31カ国中最短であった。同じように短い韓国は7時間41分、メキシコは7時間59分、最長は南アフリカ共和国の9時間13分であった。アメリカでは1980年代から睡眠不足による体への悪影響が指摘されていた。今は「睡眠負債」等の研究も進められている。最近、日本でも睡眠への関心が高まっている。子供にとって睡眠は成長ホルモンの分泌に欠かせないものであり、大人にとっても睡眠は心身のリフレッシュのために必要不可欠なものである。また、睡眠は、脳の老廃物、認知症の原因となるアミロイドβを除去するともいわれている。夏休み直前、子供の生活リズムを整える意味でも、睡眠時間の確保や良質な睡眠のとり方等、睡眠の重要性を子供たちに伝えることはとても大切なことであると考える。
*詳しくは睡眠の頁↑「睡眠に関する教育の重要性」を参照  

健康教育ニュース NO.37  夏本番、蚊への対策   2018.7.8

例年よりもかなり早く梅雨が明け、気温が上がり蚊が多くなる季節になりました。蚊は、刺されてかゆいだけでなく、近年では日本でもテング熱やジカ熱の蚊による媒介が心配される事態になっています。蚊の発生の抑制には、水たまりをつくらないようにすることが大切です。蚊は、人の体温や匂い、呼吸による二酸化炭素を感知して、産卵を控えたメスが血を吸うために寄ってくるのです。蚊に刺されにくくするためには、暑くても長袖・長ズボンを着ることです。服装は、蚊の保護色となる黒い色(濃い色)は避けたほうがよいといわれています。また、肌が露出している所には、虫除けが有効ですが、虫除けは、塗った箇所を蚊が皮膚として探知できないようにする仕組みになっています。したがって、まんべんなく塗らないと効果が期待できなくなるといわれています。体温が高い子供は刺されやすい傾向にあるそうです。

健康教育ニュース NO.38  真夏の健康課題   2018.7.10

真夏の健康課題といえば、熱中症と睡眠不足でしょう。睡眠不足等、生活習慣が乱れることで、熱中症になりやすくなるともいわれています。熱中症の予防について詳しくは、環境と健康のページ↑をご参照ください。夏休みに入ると、児童生徒の夜更かしが心配されます。しかし、大人も同様です。成人の睡眠時間は少なくても7時間は必要です。それ以下では、大多数の人が睡眠不足に陥ります。それは、遅くても午後11時前には就寝することを意味しています。毎朝午前6時頃に起床し、明るい光を浴びることで体内時計が整えられ、約14時間後には眠くなるとされています。そして、良質な睡眠には、できるだけ寝る1時間前に、部屋を暗く静かな環境にする。適温(エアコン等で26度程度)にする。穏やかに副交感神経を優位にすることが大切です。逆に、寝る前に1000ルクス(コンビニや明るい部屋の照明等)程度の強い光を浴びると睡眠を誘導するホルモン「メラトニン」の分泌が抑制されます。また、パソコンやスマホの使用も、(ゲームは特に)交感神経が優位になり、睡眠を妨げる要因になります。真夏の健康課題解決のため、まず、大人が生活習慣の見本を示すことが大切です。 

健康教育ニュース NO.39  海の事故を防ぐ   2018.7.15

海上保安庁によると毎年800~900人程が海で事故に遭い、200人以上の尊い命が失われています。事故者の割合は、釣り34%、遊泳33%、磯遊び7%、スキューバダイビング7%、サーフィン6%、その他13%です。遊泳による事故を防ぐには、体調管理と準備運動、海水温に慣れることが大切です。睡眠不足、飲酒後、突然沖に向かって泳ぐ等は避けてください。そして、海の状況を適切に判断することも大事です。波が高いとき、遊泳注意の指示が出ている場合は、入水は控えた方が良いでしょう。特に小さな子供からは絶対に目を離さないでください。また、波が高くなくても、岸から沖への強い流れ「離岸流」が起きている場合があります。泳いでる間に沖への強い流れを感じたら、慌てず、岸と平行に泳ぎ、離岸流をやり過ごしましょう。離岸流の幅は、通常10~30m程だといわれています。したがって、30m以下の泳力であれば、決して、沖に向かって泳いではいけないということになります。波が高くないときに足の立つ範囲で、岸と平行に泳ぐ等で海を楽しむことをおすすめします。釣りでは、必ずライフジャケットを着用し、突然の高波には十分に注意してください。万一水の事故に遭ったり、見聞きしたりした場合は、海上保安庁緊急通報用番号「118」に電話すると最寄りの管区海上保安本部につながります。不幸にして心肺停止状態等で岸に上げられた場合は、(ライフセーバーの方が不在の場合)近くの人が「119」番への通報と、心肺蘇生の救急救命処置を救急車が到着するまで途切れなく行ってください。 

健康教育ニュース NO.40  自分に打ち勝つ   2018.7.20

2020東京オリンピック・パラリンピックをめざす 皆川 夏穂(かほ)選手は新体操の最高峰であるロシアで練習を続けている。新体操で一番重要である柔軟性があり、身長170cmと恵まれた身体の皆川選手であるが、メダリストを何人も育てているロシア人ナディアコーチの「臆病者、あなたは言い訳を探しているだけ、根性を見せなさい」という言葉は厳しい。実は、皆川選手は、自分で自分にプレッシャーをかけすぎてミスを恐れ、極度の緊張から練習ではできている技も、試合ではミスを繰り返すという弱さが大きな課題となっていた。しかし、ナディアコーチは厳しいだけではない。気分転換に皆川選手をレストランに連れ出したり、大きな大会に皆川選手だけで出場させたりと、メンタル面でも皆川選手を支えている。ナディアコーチは「プレッシャーに負けない強い選手は、大舞台でも自分の力を発揮できる。しかし、そうでない選手は、プレッシャーを一つ一つ乗り越えていく経験を積んでいくしかない」と語る。コーチの強い思いを受け皆川選手は「自分のミスを認める。ミスはあるものだと認め、ミスをしても前に進んで行く」「毎日の練習を大切にしたい」と決意を新たに練習に取り組んでいる。

健康教育ニュース NO.41 子供の「熱中症」「乗り物酔い」2018.7.23

「命に関わる危険な高温」が続く猛暑の夏では、熱中症の予防が一番の健康課題である。子供は、体幹部の体温が大人より上昇しやすく、熱中症になるリスクが高い。高温から身を守る対策、水分や塩分の補給等の他、十分な睡眠に、朝食をきちんととりビタミンやミネラルをしっかり補給することが大切であるといわれている。また、プールや海などでも、高温時には熱中症に十分注意しなければならない。一方、夏休みは遠出をする機会があり、「乗り物酔い」に苦しむ子もいる。乗り物酔いとは、揺れや刺激による平衡感覚の混乱や自律神経の乱れにより、吐き気、めまい、頭痛等を起こす症状である。旅行前日には睡眠を十分にとり、食事は、乗車1時間前に軽めに済ませ、酔い止めの薬(吐き気を抑える抗ヒスタミン薬等)の服用も必要である。

健康教育ニュースNO.42世界各地の熱波についてWHOが警告 2018.7.30

7月26日、世界保健機関(WHO)は、世界各地での熱波について警告を発している。異常な高温が健康に及ぼすリスクとして、まず、体温調整機能が損なわれ熱中症を引き起こすこと、さらに、心臓、脳、呼吸器系の慢性疾患や糖尿病を悪化させ、多数の犠牲者を出す恐れがあるとしている。一方で、水分や塩分の補給、適切な室温の管理等、公衆衛生上の対策を十分にとれば 「被害は予測でき、防止することも可能だ」と指摘している。また、世界気象機関(WMO)は、世界的な高温や熱波はしばらく続くとの見通しを示した。記録的な猛暑が続く日本の他、北欧など北半球の各地で、高温や熱波による様々な被害が確認されている。

健康教育ニュースNO.43ネット安全教育と、家族とのコミュニケーション 2018.7.31

政府は27日、子ども・若者育成支援推進本部の会合を開き、インターネットをきっかけとした犯罪やトラブルから青少年を守ることを目的とした「第4次青少年インターネット環境整備基本計画」を決定した。ネット利用の低年齢化を踏まえ、小学校低学年から発達段階に応じてネット利用時の危険性を伝える教育を進め、未就学児を含む保護者向けの啓発資料を作成する。学校に加えて幼稚園や保育園を通じ、閲覧制限(フィルタリング)機能の周知を図る。また、国立青少年教育振興機構による日本・米国・中国・韓国の小中学生を対象とした調査で「家族が一緒にいても、それぞれが自分の携帯電話やスマートフォンを操作している」と答えた割合が、日本が6割を超え最も高かった。スマートフォンやパソコンの活用において、ネット利用の安全教育と共に、家族とのコミュニケーションの在り方や睡眠時間の確保を中心とした生活習慣の見直しが必要であると考える。 

健康教育ニュースNO.44夏休み後半、健康は質の高い睡眠から 2018.8.11

子供も大人も、引き続き熱中症や水の事故に注意しなければなりません。各地で高温が続く中、文部科学省は7日、児童生徒の健康を最優先に考え、状況に応じて夏休みの延長も検討するように各教育委員会に通知しました。高温の中で健康を保つには、質の高い睡眠が大事です。質の高い睡眠のために室温は26度~28度、湿度は50%~60%になるようにエアコンを設定します。また、入浴は就寝1時間前に、38度~40度の少しぬるめのお湯に入ると良いとされています。冷たさを感じる寝具の使用も脳や体幹の温度を下げるのに良いでしょう。その他、水出し緑茶等から抽出されるテアニンには脳をリラックスさせ良い睡眠に導く効果があるとされています。毎日、睡眠時間を確保し、質の高い睡眠をとり、真夏を元気に乗り切ってください。

健康教育ニュースNO.45 小児・AYA世代(adolescent and young adult;         思春期・若年成人のがん罹患 初の集計 2018.8.16

国立がん研究センターは、0~14歳の小児と、15~39歳の思春期・若年世代で1年間にがんと診断される人の数が年間推計2万1400人に上るとの結果を発表した。センターは27府県の2009~2011年のデータを集計。若い世代が1年間にがんを発症し診断される罹患率を算出し、全国の患者数を推計した。 *人口10万人当たり 
0~14歳 12.3人  15~19歳 14.2人  
20~29歳 31.1人  30~39歳 91.1人   
0~14歳で最も多いのは白血病で、次は脳腫瘍、リンパ腫の順であった。15~29歳では白血病や卵巣・精巣がん、甲状腺がんやリンパ腫が多かった。30代の特に女性では、乳がんや子宮頸がんが多かった。 国立がん研究センターは「がんの種類や患者数を自治体や医療機関が把握し、診療体制の整備に活用してほしい」と話している。 
*詳しいデータは、「がん教育・救急処置」のページ↑の資料を参照

健康教育ニュースNO46風しん流行の兆し(予防について再掲載)2018.8.17

厚生労働省は14日、風疹が流行する兆しがあるとして、予防接種の徹底などを呼びかける通知を全国の自治体に出した。通知は、全国の患者数が1万人を超えた2013年以来のもの。厚労省によると、ここ2週間の患者数は38人で、千葉県など関東地方を中心に急増している。今年の患者数は96人と、すでに昨年1年間の93人を超えている。今後さらに感染が広まる恐れがある。風しんは、せきやくしゃみを通して感染する。感染2~3週間後に熱や発疹、リンパ節の腫れなどの症状が出る。以下予防について再掲載*「NO.33  こどもとおとなのワクチンサイト 2018.6.27」 日本プライマリ・ケア連合学会は先頃、麻しんや風しんなどに対し必要な予防接種についての情報をまとめた「こどもとおとなのワクチンサイト」を公開した。年代別にどのようなワクチンをどれくらいの間隔を空けて、いつ頃何回接種すればよいか、一覧表に分かりやすく整理されている。麻しんや風しんなどで自分が足りていない予防接種はないか、チェックできるようになっている。
*「疾病・けが・感染症」ページ↑の資料参照

健康教育ニュースNO.47 薬物乱用防止教育の重要性   2018.8.19

「脳や神経系を壊し、元には戻らない」とされる危険な薬物乱用。警視庁によると昨年の薬物全体の摘発者は1万3542人に上るなど、薬物に手を出す若者は後を絶たない。覚醒剤の摘発者は依然1万人を上回り、覚醒剤の押収量は昨年、2年連続で1トンを超えた。また、2017年1年間の大麻の摘発者は、2016年より472人多い3008人に上り、過去最多となった。中でも20歳未満の若年層の伸びが大きく、スマートフォンの普及でインターネットを利用した薬物の密売の潜在化、巧妙化が進んでいる。一方、2017年米国での薬物中毒による死者は、銃器や交通事故による死者を上回り、過去最悪の約7万2000人に上ったことが、米国疾病対策センターの集計で明らかになった。その3分の2が医療用麻薬オピオイドによるもので薬物問題の深刻さを浮き彫りにした。9月新学期に向け、各学校で「薬物乱用防止教育の重要性」を共通理解したい。*薬物乱用防止等の指導に関する資料(がん教育・救急処置・薬物乱用防止)のページ↑、文部科学省 小・中・高等学校での保健指導(保健指導・保健学習・保健室経営)のページ↑参照

健康教育ニュースNO.48 スポーツにおけるインテグリティ 2018.8.20

日本スポーツ界でのインテグリティ(integrity)教育は、諸外国に比べて遅れているのか?・・・「インテグリティ」とは、誠実、高潔と訳される。その意味で、直近のアジア大会のバスケットボール選手の不祥事をはじめとする、選手や監督コーチによる度重なる不祥事を見る限り、日本スポーツ界でのインテグリティ教育は、大きく遅れていると言わざるを得ない。スポーツ界における暴力、違法薬物・ドーピング、賭博、八百長等は、フェアプレーの精神に大きく反するものである。元もと、日本のスポーツはアマチュア精神を根本としてきたが、近年、世界のスポーツの流れから、プロ化やスポンサー契約によるサポートが当たり前のものとなってきている。これは、選手の練習と生活の両立を考えたときに、やむを得ない流れかもしれない。しかしながら、上記のようなフェアプレーの精神に反する行為は、どのような環境のもとでも断じて許されるものではない。これからは、オリンピック・パラリンピック教育の中で、児童生徒にスポーツインテグリティの重要性を伝え、育んでいく必要があると考える。 

健康教育ニュースNO.49 文部科学省「子供のSOS相談窓口」 2018.8.28

被災地で多大な困難を抱える学校を含め、本日から、早めの新学期が始まった学校も多かったことと思います。この時期は、様々な理由で学校に登校することにプレッシャーを感じ、思い悩む子がいます。学校関係者の皆様、ぜひ、このような子供たちのSOSや心の叫びに気付き、かけがえのない命を救ってください。
*文部科学省「子供のSOS相談窓口」  24時間 子供SOSダイヤル 0120-0-78310(なやみ言おう)
*「心の健康・自殺予防」のページ↑をご参照ください。 

健康教育ニューNO.50 東京都教育委員会「性教育の手引き改訂へ」 2018.8.31

東京都教育委員会は、29日、東京都内の小・中・高等学校の教員が児童生徒に性教育を行う際に活用する「性教育の手引き」について、改訂に向けた作成委員会を開いた。現行の手引きを新学習指導要領に合わせ、SNSなどの情報化社会に対応したものにする。また、子供がインターネットを使って、性に関する様々な情報を簡単に入手することができる現状に対応した性教育の在り方についても検討する。手引きは来年度に配布する予定である。

健康教育ニュースNO.51 豪雨被災地での高校生の励まし  2018.9.4

7月の西日本豪雨で大規模な浸水被害があった岡山県倉敷市真備町の小中学校8校で3日始業式が行われた。8校の内、被害が大きかった5校は、今も校舎が使えず、仮設の校舎ができるまで等、市内の他の学校を借りての新学期となった。校舎の一階が水没した小学校の児童は、通学バスでの登校となり、約9km離れた別の小学校で始業式を行った。また、他の小学校の児童は、受け入れ先の高校で、生徒のチョークアートによる励ましを受けた。この地域では、未だ650人の方が不便な避難生活を強いられている。その中で被災している高校生も多いが、「これからもいろいろな形で小学生を助けていきたい」と、自分の困難を乗り越え、小学生を励ます姿は、災害に負けない心の強さを感じる。
これからも、児童生徒が安心して学習、生活できるように、継続的な支援が必要である。                    

健康教育ニュースNO.52 運動不足世界で14億人  2018.9.7

5日、世界保健機関(WHO)は、2016年に18歳以上の4人に1人に当たる14億人以上が運動不足により糖尿病や心臓疾患、認知症にかかるリスクが高くなっているとする研究結果を発表した。運動不足の人の割合は、日本36%、アメリカ40%、ドイツ42%で、最も多かったのはクウェートの67%、性別では男性が23%、女性が32%で、女性の運動不足が目立つ。WHOは「長時間労働や交通機関の発達、スマートフォンの普及などが人々から運動の機会を奪っている」と指摘している。WHOは、1週間あたりの適切な推奨運動量として、ウォーキングや水泳等の適度な運動なら少なくとも150分、ジョギングやサッカー等の激しい運動なら75分といった基準を設けている。

健康教育ニュースNO.53 避難生活 エコノミー症候群の防止 2018.9.10

北海道地震で現在、2500人を超える方々が避難所での生活を余儀なくされています。長く同じ姿勢で座ることで足の血行が悪くなり血栓ができ、それが肺の血管などに詰まって、胸の痛みや息切れの症状から時には死に至る病気がエコノミー症候群です。長時間同じ姿勢で座る飛行機での移動等が主な原因といわれていましたが、避難所や車中での長期間の生活でも発生する病気です。
予防のために、まずは、水分を十分に補給してください。次に、できるだけ歩いたり、軽い運動をしたりしてください。運動ができない場合は、足や足の指を定期的に動かすことや、ふくらはぎのマッサージもエコノミー症候群の防止に有効であるとされています。さらに、感染症の予防のため、手洗いやうがい、歯磨きはできるだけ欠かさないようにしてください。

健康教育ニュースNO.54学級閉鎖 インフルエンザの感染を防ぐポイント2018.9.11

東京都と愛知県の小学校で、今期初めてのインフルエンザ感染予防のための学級閉鎖が行われました。被災地の避難所でも、これから特にインフルエンザの感染に注意が必要です。
厚生労働省・政府広報により*『インフルエンザの感染を防ぐポイント 「手洗い」「マスク着用」「咳(せき)エチケット」』が平成29年11月20日付で示されています。また、、インフルエンザについて詳細な*『インフルエンザQ&A』は平成29年11月15日時点のものです。*いずれも、疾病・けが予防・感染症のページ↑に掲載しています。ご参照ください。

健康教育ニュースNO.55 がん教育推進のための根拠となる報告2018.9.15

14日、国立がん研究センターは、2014年に新たにがんと診断された人は86万7000人で過去最多となったと発表した。2018年は101万4000人になると予想している。部位別で最も多かったのは大腸がんの13万4000人で、2013年に1位だった胃がんを抜いた。これは、衛生状態の改善により、胃がんの原因となるピロリ菌の感染者が減ったためとみられる。一方、食の欧米化が大腸がん増加の原因とされている。性別では、男性は胃がんが最多、女性では乳がんが最多となっている。大腸がん、胃がん、乳がんは、それぞれ検診による早期発見で死亡率を減らせることが分かっている。
このことから、国が示している検診の推奨や食育と関連させた学校でのがん教育の推進が、さらに重要性を増しているといえる。

健康教育ニュースNO.56 2020パラリンピックに向けて 2018.9.18

1日、2日、第29回日本パラ陸上競技選手権大会が高松市屋島レクザムフィールドで行われました。約5600人が観戦、選手に熱い声援を送りました。以前、講習をしていただいた、
・Women女T11 走幅跳(L.J.視覚障害) 高田 千明 選手は4m40で1位
・Men男T47 走幅跳(L.J.上肢前腕障害等) 芦田 創 選手は6m77で1位
と2020パラリンピックに向け順調に調整が進んでいるようです。また、
・Women女T63 走幅跳(L.J.下肢義足使用・立位)  兎澤 朋美 選手は、アジア記録更新となる4m07の記録で1位となりました。これからも他の競技、種目も含めパラアスリートへの応援をよろしくお願いします。 

健康教育ニュースNO.57  世界に勝つために人生をかける 2018.9.28

バレーボール女子日本代表 中田 久美 監督は、積極的に外国のチームの中に飛び込み、世界に勝つために日本チームは何をすべきか、考え続けた。絶対的なエースが引退した逆境の中で監督に就任した中田さんは、「力がない者は練習する。チームとして勝つために一人一人の力を伸ばしていく」と語っている。そして、サーブレシーブの強化を第一にあげている。サーブレシーブが安定すれば、良いトスが上がり、多彩な攻撃に繋がる。次に、サーブの強化である。強力なサーブは、体格の差に関係なく、得点をあげられる。さらに、メンタルトレーニングを重視している。その中で、新エース候補として20歳の 黑後 愛 選手が注目されている。黑後選手には、何があっても下を向かない強靱な精神力がある。本人も「折れない心は、誰にも負けない」と、自信をのぞかせている。先頃行われた強豪イタリアチームとの試合では、黑後選手の活躍で、逆転勝利することができた。中田監督は「黑後選手のあきらめない姿がチームを変えた」と賞賛する。   

健康教育ニュースNO.58 軽い運動をすることで記憶力がアップ2018.10.1

9月29日に筑波大学の研究チームが、10分程度の軽い運動をすることで、記憶をつかさどる脳の海馬が刺激され、直後の記憶力が高まることを明らかにし、米国科学誌に発表した。この研究で、20代の健康な男女36人に10分間ペダルをこぐ軽い運動をした直後の脳の透視画像では、異なる記憶を区別する「海馬歯状回」周辺が特に活発になり、頻繁に情報のやりとりをしていたことが明らかになったとしている。ヨガや太極拳といった手軽な運動でも記憶力の向上に効果があるとされる。また、認知症などの患者や高齢者、子供の記憶力維持や改善にも運動による効果が期待できるのではないかとしている。

健康教育ニュースNO.59  高校生等への喫煙防止教育  2018.10.6

厚生労働省の調査(2017年12月~2018年2月、中学校・高校103校の約64000人から有効回答)によると、紙巻きたばこの使用が近年大きく減少する一方、加熱式たばこ、電子たばこの喫煙が中高生の間に広がりつつあるという結果を公表した。調査結果は以下の通り。*喫煙経験(%)
中学生   紙巻きたばこ2.6%  加熱式たばこ1.1%  電子たばこ2.1%高校男子  紙巻きたばこ6.9%  加熱式たばこ2.9%  電子たばこ4.9%高校女子  紙巻きたばこ3.3%  加熱式たばこ1.4%  電子たばこ2.1%加熱式たばこは、葉たばこを原料とするれっきとしたたばこで健康に害があるとされる。また、香料などの液体を加熱して蒸気を吸う電子たばこは、国立保健医療科学院 生活環境研究部の測定によると、25銘柄45味中、11銘柄15味でニコチンが検出された。厚生労働省は、いずれのたばこも健康に害がある可能性があるということを中高生に伝える喫煙防止教育の必要性を強調している。

健康教育ニュースNO.60「できないことを嘆くな、できるまでやり続けろ」2018.10.9

6日から開かれているジャカルタアジアパラ大会陸上女子400メートルに出場する重本沙絵選手の新コーチ、ジョン・スミス氏の言葉である。「できないことを嘆くな、できるまでやり続けろ」。言われてみればその通りだが、「やり続ける」ことがいかに大変なことであるか、特にスポーツ選手ならば分かるであろう。2年前のリオデジャネイロパラリンピック。初出場の重本選手は、ハンドボールの選手から転向し、陸上女子400メートルの腕に障害があるクラスに出場、銅メダルを獲得した。当初、重本選手は、メディアの前では腕があるように見える服を選んで着るなど、右ひじより先がないという障害を受け入れることができずにいた。オリンピック金メダリストのモーリス・グリーンらを育てたジョン・スミスコーチは、記録を伸ばすためにストライドを広げる練習で「できるまでやり続けろ」と妥協を許さなかった。できないことに対してどこか逃げたり、甘えたりしていた自分に気づいた重本沙絵選手、走り方を改善し、リオデジャネイロ大会400メートルの金メダリスト、中国の選手に挑む。  

健康教育ニュースNO.61足の障がいをマイナスと捉えないリフレーミング2018.10.13

パラリンピック競泳(米国)ジェシカ・ロング選手は、生まれながらにして両足の膝から下がない。幼児期から、将来義足を装着できるようにするために、何度も何度も手術を繰り返した。そのため、障がいがない他人を羨むこともあった。しかし、調子が悪くうまくいかない時も、足の障がいを言い訳にしたことはなかった。何かをあきらめることは一度もなかった。毎日を精一杯生き、自分の今ある肉体を鍛えて全て泳ぎに生かすという前向きな気持ちが常に彼女を支えてきた。ジェシカ・ロング選手は「両足を失って得たものは、前向きな気持ち、リフレーミングの心である。私にとっての障がいは、できないとあきらめることである。トップになることと、トップであり続けることは違う。東京パラリンピックで私の最高の泳ぎを見てもらい、障がいがあることは、決してマイナスではないと感じてほしい。困難を抱えている人を励ましたい」と語っている。そして、2020年を目指し、さらに泳ぎを進化させるため、両足太ももの筋肉を鍛え、足による推進力の向上を図っている。

健康教育ニュースNO.62  #7119 電話救急相談 2018.10.22

#7119 電話救急相談 *プッシュ回線利用。
下記の限られた(全国の約40%)地域の情報となります。すみません。 
9都府県  宮城・茨城・埼玉・東京・新潟・奈良・大阪・鳥取・福岡
*他地域の方は「総務省消防庁 #7119救急安心センター事業関連情報」(がん教育・救急処置・薬物乱用防止のページ↑に掲載)をご参照ください。

急な病気やけがをした場合に「救急車を呼んだほうがいいのかな?」、「今すぐ病院に行ったほうがいいのかな?」など迷った際の相談窓口として、上記地域で「救急相談センター」を開設しています。救急相談センターでは、これらの相談に相談医療チーム(医師、看護師、救急隊経験者等の職員)が、24時間年中無休(東京消防庁の場合)で対応しています。

全国共通版は厚生労働省「子ども医療電話相談(♯8000)」
*ただし時間限定です。
詳しくは「厚生労働省 子ども医療電話相談(♯8000)」(がん教育・救急処置・薬物乱用防止のページ↑に掲載)をご参照ください。

健康教育ニュースNO.63 「がん教育実施状況」初の全国調査 2018.10.25

23日、文部科学省は2017年度の「がん教育」の実施状況について、初の全国調査の結果を公表した。
全体    実施した 56.8%    実施しなかった 43.2%
小学校   実施した 52.1%    実施しなかった 47.9%
中学校   実施した 64.8%    実施しなかった 35.2%
高等学校  実施した 58.0%    実施しなかった 42.0%
活用した外部講師の職種は、がん経験者20.8%、がん専門医17.0%、薬剤師14.6%、学校医13.4%であった。
<活用の効果>・健康と命の大切さについて主体的に考えることができた。・がんに関する知識や理解が深まった。
<今後の課題>・講師との打ち合わせを事前に行わないと、講師の話す内容と学校の要望にギャップが生じる。・年間計画に位置付けないと、指導時間の確保が難しい。・講師リストなどがなく、講師を探すのが難しい。・講師の謝金などの経費が確保できない。
などが挙げられた。さらなる、がん教育の推進が望まれる。 

健康教育ニュースNO.64 環境に優しいバイオプラスチック 2018.10.27

今、プラスチックごみは、海洋汚染を引き起こす原因となっている。そのため、使い捨てプラスチック製品の使用を控える動きが広がっている。環境省は、プラスチックごみの削減を来年度の重点政策に位置付け、代替え素材となるバイオプラスチックの実用化、低コスト化に向けた実証事業を始める。大学や様々な研究機関で、トウモロコシやサトウキビなど、植物由来の素材から作られるバイオマスプラスチックや、微生物の働きによって水と二酸化炭素に分解され、最終的には自然に返る自然還元型の生分解性プラスチックの研究が進められている。プラスチックの海洋汚染は、やがて、人体にも直接悪影響を及ぶすと危惧されている。「食育」でプラスチックごみの環境汚染について、そして、環境に優しいバイオプラスチックについて、学ぶ場が必要になって来るであろう。

健康教育ニュースNO.65 心と体の鍛錬、剣道の「残心」  2018.11.5

3日、第66回剣道・全日本選手権が東京・日本武道館で行われた。熊本(県警)の西村英久6段が2年連続3度目の優勝を果たした。連覇は3人目となる。実は、大会数日前にNHKで西村英久6段の特集が放送されていた。西村選手は、初めて全日本選手権で優勝した後、「日本一の者は、絶対に負けるわけにはいかないという重圧から、負けることを恐れ、受け身になり攻めることができず、結果的に勝ち上がることができなくなった時期があった」。そこから抜け出せたのは、指導者からの「自分の得意な小手で、自信をもって攻めろ」というアドバイスであった。それを機に、得意の「小手」にさらに磨きをかけ、自信を取り戻し、今回の連覇に繋がったのである。
一方、剣道には「残心」という考え方がある。残心は勝負が決してからの心のあり方を示す。そして、勝負が決まっても油断をせず、相手のどんな反撃に対しても対応できるような身構えと気構えを常に心がけることを表す。
最近、国際大会・オリンピック等のスポーツの試合で、勝った選手がガッツポーズなどで喜びを表現する姿がよく見られる。喜びを素直に表現することは自然な行為かもしれない。しかし、剣道の試合では、勝者がガッツポーズをした瞬間、飛び跳ねた瞬間に一本を取り消されることがある。勝敗の喜びや悔しさといった感情を表に出すことは「残心がない」とされ、剣道の精神に反すると判断されるからである。また、残心は、相手に対して、卑怯でない、驕らない、高ぶらない事、好敵手がある事に感謝する心であるとされる。どのような相手でも、相手があって初めて技術の向上がある。ゆえに、相手から学び、常に相手を尊重し、思いやることが大切なのである。それは、「勝って驕らず、負けて腐らず」、一つの勝利でなく、次の完全なる勝利へと導く心のあり方ともいえる。「残心」は、様々なスポーツや日常の生活、生き方にも生かすことができるのではないかと考える。  

健康教育ニュースNO.66 2017年度全国の小中学校、不登校の児童生徒2018.11.14

文部科学省の調査によると、2017年度の全国小中学校での不登校の児童生徒は14万4000人を超え、増加傾向にあるとしている。その中で、不登校の生徒が中学校夜間学級や、不登校の児童生徒がフリースクールに通うケースが増えているとされる。公立中学校の夜間学級は、全国8都府県の計31校に設置されている。文部科学省は、全都道府県への夜間中学(学級)開設をめざしている。一方、民間の施設であるフリースクールは、学校教育法上の学校ではないが、文部科学省の調査によると2015年時点で全国に300施設以上あり、小中学生だけで4000人以上が利用している。夜間中学やフリースクールなどが注目されるようになった背景には、2016年12月の「教育機会確保法」の成立がある。同法は、学校外での「多様で適切な学習活動の重要性」を明記。国や自治体が個々の状況に応じた支援に向けて「必要な処置を講じる」と規定している。
担任教諭や養護教諭等、各小中学校の教師の努力にもかかわらず、いまだ不登校の児童生徒が増加傾向にある現状を考えると、今後さらに、在籍校をはじめ、通級指導教室や適応指導教室等で、児童生徒、個々の状況に応じた学びの機会の確保が重要な課題となる。          

健康教育ニュースNO.67 文部科学省「放射線副読本」改訂版2018.11.21

文部科学省は、小中高生向けに児童生徒が放射線について、科学的な知識を身に付け、正しく理解できるように、2014年春以来2度目となる改訂作業を終え、10月に「放射線副読本」改訂版を公表しました。その中で、特にいじめは決して許されるものではないということを強調しています。以下、副読本に書かれている文章をそのまま掲載します。
「平成23年 3 月11 日 には、地震と津波によって、東京電力の福島第一原子力発電所で事故が起こりました。この事故による放射線の影響を避けるため、その周辺に住む人たちは自分の家から避難しなければならなくなりました。避難している人たちは、慣れない環境の中で生活をしなければならなくなりました。それにもかかわらず、避難した子供どもたちの中には、いわれのないいじめを受けるといった問題も起きてしまいました。復興に向けた取組は着実に進んでいますが、私たちみんなで二度とこのようないじめが起こらないようにしていくことが大切です」       
       *副読本改訂版は「健康と環境」のページに掲載しました。

健康教育ニュースNO.68 「やることがいっぱいあってうれしい」 2018.11.25

「やることがいっぱいあってうれしい」とは、今シーズンアメリカメジャーリーグで日本人としてイチロー選手以来の新人王に輝いた、エンジェルス大谷翔平選手の言葉である。これは、世界最高峰の舞台で自分の力を発揮するために取り組まなければならない課題がたくさんあってうれしいという意味である。我々は通常、取り組まなければならない課題がたくさんあり多忙になると、つい「忙しいから」と言って学び研究することを避け、仕事に没頭する傾向にあるのではないだろうか。大谷選手は違う、日々全力で試合に臨み、練習するのはもちろんのこと、”やること”すなわち、相手を研究し、自分の対応能力を高めていくことが、たくさんあってうれしいと考えているのである。なぜそのような考えで取り組み、成長することができるのか、それは、大谷選手が抱く”世界一の舞台で超一流の選手になる”という高い志にある。大谷選手は、日本のプロ野球で、投手と打者両方で活躍する”二刀流”として実績を積んできた。しかし、今年3月のアメリカでのスプリングトレーニングでは結果を残すことができず、アメリカのメディアから酷評されることになる。悩む大谷選手は、普段はほとんど誰にも相談することはないが、イチロー選手にアドバイスを求めた。イチロー選手は「自分の才能や、やってきたことを信じたほうがいいよ」とリフレーミングで励ました。そして、チームの打撃コーチの適切なアドバイスもあり、大谷選手は、シーズン初打席でヒット、その3日後投手として初勝利、ホームゲーム初打席でホームランと、衝撃のデビューを果たした。今のメジャーリーグで160キロ以上の球を投げ、ホームランを10本以上打つことができる選手は存在しない。「大谷選手を見ていると、他のメジャーの選手が高校生のレベルに感じる」との超一流選手であった元ヤンキースA.ロドリゲス氏の言葉を始め、アメリカメディアからも”野球の神様”といわれるベーブルース以来100年に一人の選手と評されるようになった。
大谷選手は、このように語る。「理想は、ベースの上を通過するどのようなボールにも対応して、ホームランを打つことができるようになること」。この言葉は、我々の仕事に置き換えると、どのような子供、人に対しても、瞬間的な判断で適切なアドバイスやリフレーミング、指導ができるようになることであると思う。けがを乗り越え、世界の超一流選手をめざしチャレンジを続ける大谷選手の行動や考えから学ぶことは多い。  

健康教育ニュースNO.69 「No Limit,Your Life」   2018.12.2

「No Limit,Your Life」全ての人の人生に限界はないというメッセージを発信するのは、2013年に難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症し、難病ALSと共に生きる「WITHALS」の代表を務める武藤将胤(まさたね)さんである。筋萎縮性側索硬化症とは、脳や脊髄などの運動神経細胞が死滅し、全身の筋肉が動かなくなる厚生労働省指定の難病である。運動障害、コミュニケーション障害、嚥下障害、呼吸障害等の症状が現れる。
武藤さんは大学2年の時、AppleのCM「Think Different」に関心をもつ。映像には、ガンジーなど、偉業を成し遂げた人物が登場し、周りから「クレイジー」と言われても信念を貫いて行動し続ける、本気で世界を変えられると信じる人が世界を変えるという内容だった。
できないことを憂うよりも、できることにフォーカスを当てて行動し続けることで限界は超えられると武藤さん。武藤さんは、映像や音楽、ファッションなど、様々なコミュニケーション手段を駆使して、多くの人にALSのことを伝えている。現在、学校で講演をしたり、ラジオのナビゲーターをしたりしている。著書に『KEEP MOVING 限界を作らない生き方』がある。

健康教育ニュースNO.70 インフルエンザの感染を防ぐポイント2018.12.17

12月14日に厚生労働省から「平成 30 年第 49 週(12月3日~12月9日)の感染症発生動向調査で、インフルエンザの定点当たり 報告数が 1.70(定点数/全国に約 5,000 ヶ所、報告数/8,438)となった。流行開始の目安としてい る 1.00 を上回ったことから、今年もインフルエンザが流行シーズンに入ったと考えられる」と、発表がありました。これから、学校は学期末ですが、各学校、家庭で感染予防の徹底が必要になるでしょう。インフルエンザの感染予防については、以下をご参照ください。
厚生労働省や政府広報により*『インフルエンザの感染を防ぐポイント 「手洗い」「マスク着用」「咳(せき)エチケット」』が平成29年11月20日付で示されています。また、インフルエンザについての詳細*『インフルエンザQ&A』、*『平成30年度 今冬のインフルエンザ総合対策について』が平成30年11月8日付で示されています。
*いずれも、疾病・けが予防・感染症のページ↑に掲載しています。

<インフルエンザの治療薬について>
2000年に粉末の薬を吸入する「リレンザ」が販売されて以来、2001年にカプセルを複数回服用する「タミフル」、現在は吸入式の「イナビル」、そして、今年3月には錠剤の「ゾフルーザ」が販売されています。治療薬は、飲み方や回数が異なり、症状や年齢などによって医師が処方します。

健康教育ニュースNO.71視力1.0未満、過去最悪(学校保健統計調査)2018.12.22

12月21日、文部科学省は、平成30年度学校保健統計速報(学校保健統計調査の結果速報)を公表した。学校保健統計調査は、学校における幼児,児童及び生徒の発育及び健康の状態を明らかにすることを目的として,昭和23年度より毎年実施されている。なお、確定値の公表は、平成31年3月の予定。
【健康状態調査結果(速報値)】
(1)むし歯に関しては,ピーク時(昭和 40~50 年代)より減少傾向が続   いており,中学校及び高等学校で過去最低。
(2)裸眼視力が 1.0 未満の者は小学校及び高等学校で過去最高。中学校で   も,過去最高だった昨年度と同程度の高い割合

裸眼の視力が1.0未満の高校生の割合は3人に2人の67.09%に上り過去最悪。小学生でも過去最悪だった前年度からさらに悪化して34.10%となったことが分かった。文部科学省は、スマートフォンの普及や携帯ゲームの人気などで、子供が近くで物を見る時間が増えていることが背景にあるのではないかとしている。一方、むし歯の割合は中高生で最も少なくなった。肥満傾向時の割合も長期的な減少傾向が続いていることが分かった。
平成30年度学校保健統計速報(学校保健統計調査の結果速報)は、(保健指導・保健学習・保健室経営)のページに掲載しています。

健康教育ニュースNO.72 全国体力・運動能力、運動習慣等調査について 2018.12.24

スポーツ庁は12月20日、小学校5年生と中学校2年生全員を対象とした平成30年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果を公表した。体力的には概ね向上していることが分かった。ここではテーマごとの分析を紹介する。
テーマ1 得意な体力要素がある児童生徒の運動が好きの意識と運動・スポーツを含む物事への取組
体力合計点が下位30%の児童生徒のうち、全国平均より記録が優れている項目が一つある者の割合は、 男子の児童で34.7%、生徒で32.8%、女子の児童で 33.8%、生徒で34.8%であった。全国平均より優れている項目が一つもない児童生徒で「運動やスポーツをすることは好き」(質問1)と回答した割合はそれぞれ、 男子で児童が35.9%と生徒が26.3%、女子で児童が 21.2%と生徒が10.3%である。しかし、 全国平均より優れている項目が一つある児童生徒では、「運動やスポーツをすることは好き」と回答した割合が、一つも超えていない児童生徒のグループと比較して、いずれも増加している。全国平均より優れている項目が二つになると、「運動やスポーツをすることは好き」と回答する割合が更に増加する傾向が見られる。一つでも二つでも平均を上回り、得意と思える体力要素を徐々に増やしていくことが「運動好き」につながる可能性が示されている。
テーマ2 「運動・食事・睡眠」の全てが大切だと思っている児童生徒の生活習慣と体力
「運動・食事・睡眠」の全てが大切だと思っている児童生徒と、そうでないグループの児童生徒の1週間の総運動時間を比較した。その結果、「運動・食事・ 睡眠」の全てが大切だと思っている児童生徒では1週間の総運動時間が420分以上の割合が男子児童で62.1%、女子児童で36.1%、男子生徒で89.2%、女子生徒 で70.4%であった。そうでないグループでは男子児童 で36.6%、女子児童で19.1%、男子生徒で72.4%、女 子生徒で45.7%であった。
運動・食事・睡眠の大切さを周知させることが、児童生徒の体力や運動時間に良い影響を及ぼしていると考えられる。
トピックス2の分析から 保健体育の授業で、「わかる」「できる」を実感している生徒は、運動やスポーツに対する意識が高いことが分かった
平成30年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果は(運動)の頁↑に掲載しています。

健康教育ニュースNO.73 スマートフォンの使用と子供の斜視との因果関係2019.1.5

NHKの報道によると、浜松医科大学医学部付属病院では、年間2~3人であった急性内斜視の患者が2015年から10代を中心に年間10人前後に急増しているということである。1日に7時間スマートフォンを使用しているという男子高校生は、中学2年の頃からだんだんぶれてピントが合わなくなり、物が二重に見えるようになったとしている。急性内斜視とは、瞳が内側に寄り戻らなくなる症状である。
国立成育医療研究センター研究グループの論文によると、スマートフォン等ICT機器の過剰使用により、斜視の発症や悪化を招く可能性があると指摘している。
日本弱視斜視学会と日本小児眼科学会は、2018年末、急性内斜視の子供とスマートフォンの使用時間との実態調査を行い、因果関係や適切な治療方法を研究するとしている。

健康教育ニュースNO.74  希望の響き 世界初の左手のピアノコンクール 2019.1.8

2018年11月2日~4日、大阪府箕面市で左手のピアノ国際コンクールが開かれました。国の内外からプロ・アマ49人の左手のピアニストがエントリーしました。ピアノの歴史はおよそ300年、史上初の左手のピアニストによるコンクールです。出場者は、右手の指が思うように動かなくなる局所性ジストニアを発症したり、様々な理由で右手が不自由になったりした人たちです。通常ピアノを両手で弾く場合は、主に右手がメロディー、左手が伴奏を行います。左手だけの場合は、左手の親指でメロディー、残りの指で伴奏する高度なテクニックが必要です。左手の演奏は、音の響きの豊かさに特徴があります。
左手のピアニストのための曲が生まれたのは、右手を痛めた女性を励ますために、ブラームスがバッハの作品を編曲した「シャコンヌ」が始まりだといわれています。その後、ラヴェルも「左手のためのピアノ協奏曲」を書き上げました。その一方で、3000を超えるといわれている左手の楽曲は、弾く人が少ないため埋もれていきました。今回、左手の楽曲を世界中から集め、このコンクールを立ち上げたのは、左手のピアニスト智内 威雄さんです。
智内さんは「何かを失うことが逆に演奏に深みを与え人々の胸を打つ、その不思議な力を今かみしめている」「コンクールを通して、ピアノを弾く人、聴く人に希望の響きを届けたい」 また、タイからの演奏者ガン・チャイキティワッタナさんは、物理学者のホーキング博士の言葉を借りて「生きてさえいればそこにはまだ希望がある。たとえ体に障がいがあろうと思わぬことが起ころうと闘って生きていかなければならない」と語っておられました。
            NHKスペシャル「私は左手のピアニスト」から

健康教育ニュースNO.75  インフルエンザ「流行注意報」 2019.1.9

東京都福祉保健局は、1月8日インフルエンザ「流行注意報」を発表しました。以下、発表された内容です。
都内では、インフルエンザ定点医療機関からの第52週(2018年12月24日から12月30日まで)の患者報告数が「流行注意報基準」【注1】を超え、インフルエンザの流行が広がっています。今後、大きな流行へと拡大する可能性があるため、インフルエンザの予防、拡大防止のために、より一層注意を払っていただくことが重要です。
【注1】流行注意報基準:感染症発生動向調査による定点報告において、10人/定点(週)を超えた保健所の管内人口の合計が、東京都の人口全体の30%を超えた場合としています。
<インフルエンザ対策のポイント>
・こまめな手洗い
・休養・栄養・水分補給
・咳エチケット
・適度な室内加湿・換気
・予防接種(かかりつけ医と相談)

さらに、厚生労働省は9日、全国約5千カ所の医療機関から昨年12月24~30日に報告されたインフルエンザの患者数が1医療機関当たり11・17人となり、注意報レベル(10人)を超えたと発表しました。
国立感染症研究所によると、都道府県別で1機関当たりの患者数が多かったのは、北海道(32・07人)、愛知(30・45人)、岐阜(20・33人)、熊本(14・53人)、三重(13・68人)の順でした。
直近5週間で検出されたウイルスは、2009年に新型として世界的に流行したA型が最も多く、A香港型、B型が続いています。
*患者数が推定で週44万人を超えているということです。他地域でも、十分にご注意ください。なお、詳しくは2018.12.17付 健康教育ニュースNO.70 ↑「インフルエンザの感染を防ぐポイント」をご参照ください。

健康教育ニュースNO.76  居心地の悪い場所から成長は始まる 2019.1.15

「居心地の悪い場所から成長は始まる」アトランタとシドニーのオリンピック、ソフトボールで金メダルに輝いたアメリカのミッシェル・スミスさんの言葉である。まず、上手になるために大切なことは、そのスポーツを愛すること。そして、最高のプレーヤーになろうと常に上をめざす情熱であると語る。競技者や指導者に向け、大切なことを伝えている。
・ずっと続いているからといってそのやり方が正しいとは限らない。何のた めになぜその練習をするのか常に考えること。それが伝統への挑戦である・トッププレーヤーは常にFundamental基礎を徹底的にやっている。
・上手になるProcessは、まず、課題を理解することから始まる。
・トップの世界では、あと少しのことで勝負が決まる。「もっと前で、もっ と素早く、攻撃的に」待ちの姿勢ではダメ。
・決まった練習ばかりやっていては向上しない。より難しい練習を。
・Goodで満足したらGreatになれない。Greatをめざしてほしい。
・歩みを止めない決意が不可能を可能に変える。
・「忍耐」とは、自分と闘うこと。
・I can do it 自分を信じること。
・一人一人の特性に合わせて適切なAdviceをすること。それが指導者の役割・指導者は「ごちゃごちゃした物事」もできるだけSimpleに伝えること。
トップクラスの選手は、皆、生まれつき才能があったのだと思うかもしれないが、それは違う。実は私は、18歳の夏に交通事故に遭った。利き腕の肘が裂け骨が露出する重傷であった。医師からは二度と投げられないだろうと告げられたが、あきらめなかった。治療とリハビリを重ねた。さらに、大学の研究室に入って、どのような腕の使い方をすれば、より速いボールが投げられるか科学的に研究もした。その結果、交通事故から10年後、事故の前よりも5kmも速いボールを投げられるようになり、オリンピックで金メダルを獲得することができた。今でもその左腕は十分に曲げることができない。私は、「努力をすればするほど、待っている結果は素晴らしいものになる」ということを皆さんに伝えたかった。

健康教育ニュースNO.77 がん教育を推進するための資料 2019.1.18

厚生労働省は17日、2016年に新たにがんと診断された患者が全国で99万5132人であったと発表した。*一人で複数のがんが発見された場合、それぞれのがんで一人分として登録されている。
患者数は、男性56万6575人、女性42万8499人であった。
がん新患者数の部位別上位  
  男性          女性         合計
① 胃  (9万2691人)  乳房(9万4848人)  大腸(15万8127人)
② 前立腺(8万9717人)  大腸(6万8476人)  胃 (13万4650人)
③ 大腸 (8万9641人)  胃 (4万1959人)  肺 (12万5454人)
④ 肺  (8万3790人)  肺 (4万1634人)  乳房(9万5525人)
⑤ 肝  (2万8480人)  子宮(2万8076人) 前立腺(8万9717人)
*がん患者が増加していることが具体的な数字で明らかになった。小学校を含めてがん教育を推進していきたい。

健康教育ニュースNO.78インフルエンザ流行拡大42都道府県警報レベル 2019.1.19

厚生労働省は18日、東京都は17日、それぞれインフルエンザ警報(警報レベル超え)を発表した。(疾病・けが予防・感染症のページ参照)
今月13日までの1週間の全国の患者数は、推計で約163万5000人で前週に比べて100万人以上増えている。検出されたウイルスの7割は、10年前に新型として流行した「H1N1型」である。
*予防については、2018.12.17付 健康教育ニュースNO.70 ↓「インフルエンザの感染を防ぐポイント」をご参照ください。

健康教育ニュースNO.79がんと生きる~こころとからだ 私らしく~ 2019.1.20

19日、東京文京シビックホールで「フォーラム がんと生きる~こころとからだ 私らしく~NHK厚生文化事業団主催」が開催された。1200名超えの参加があり、がんに対する関心の高さがうかがえた。以下の内容でシンポジウムが行われた。
・がんの治療 ・腹腔鏡手術 ・抗がん剤の主な副作用 
・がん医療のあり方 ・緩和ケアの手立て ・新しいがん医療のあり方
・がんにともなう痛み ・がん相談支援センター
その他、がん患者の方の体験談。 治療、こころの不安、仕事、経済的な問題等について総合的に相談できるよう、各分野の専門職が集結してNPO法人が設立され、病院と連携してがん患者を支援しているとの報告があった。子供にはもちろんのこと、大人への「がん教育」の必要性を強く感じさせるフォーラムであった。
*関連資料はがん教育・救急処置・薬物乱用防止の頁↑に掲載 

健康教育ニュースNO.80  長期入院の高校生に学習支援へ  2019.1.21

平成25年度の文部科学省調査で、小児がんなどで年間30日以上長期入院している高校生は全国に1124人、うち学校などから学習支援を受けられなかった生徒は771人に上る。この調査結果を受けて文部科学省は、小児がんなどの病気で長期入院している高校生に対して、病院への教員の派遣や、タブレット端末による遠隔授業などの学習支援を来年度から全国5つの自治体で試験的に導入する。
長期入院している高校生の中には単位が取得できずに留年や退学をする生徒がいるなど、課題となっていた。文部科学省は、入院中でも単位が取得できるような学習支援について検証していく考えである。今年度中に全国で希望する自治体を募集する。
* 「病気の子どもの理解のために」等、関連資料は、特別支援・発達障害・虐待対応のページ↑(ページ中段・緑帯の所)に掲載しています。

健康教育ニュースNO.81  走る楽しさを追求しオリンピックへ 2019.1.22

北京オリンピック陸上男子400mリレーの銀メダリスト、末続 慎吾さんが1月27日、神奈川県平塚市で陸上クラブ「イーグルラン」を発足する。
イーグルランとは、「ワシのように物事を俯瞰して走る」という意味が込められている。幅広い年代のランナーが集う陸上クラブをめざす。
勝利やタイムなどの結果を求めるあまり、心身がぼろぼろになった自らの経験をもとに、走る楽しさを追求することを目的としている。
クラブは、会費制で週2回合せて4時間、市内の競技場で活動する。「クラブを拠点として、より高いレベルをめざす選手を指導し、東京オリンピックで活躍する選手を育てたい」と意気込みを語る。

健康教育ニュースNO.82  視覚障害者マラソンで東京パラリンピックをめざす2019.1.23

視覚障害者マラソンで活躍する近藤 寛子さんは、37歳の時、網膜色素変性症を発症する。網膜色素変性症は、根本的な治療法がない難病である。視野が徐々に狭くなり失明の恐れがある病気である。現在、視野は、机に置いた500円玉ほどしかなく、歩行するのにも困難な状態である。
近藤さんは、陸上経験はなかったが、目が不自由となってからは、走ることが一番楽しい時間となった。伴走者とはもちろんのこと、近所の人と一緒に走るのが日課となっている。マラソンを始めて8年目にパラリンピック代表候補になる。
そして2016年、視覚障害者マラソンでリオパラリンピックに出場。3時間23分12秒で見事に5位入賞を果たす。
近藤さんは、目が不自由になってからも、着る服の色あいや、お子さんのお弁当の色あいを大事にしている。「皆さんに自分が夢を追いかける姿を見てもらいたい」と語る近藤選手。めざすは東京パラリンピックである。

*東京パラリンピックでは、直接会場で選手の応援をお願いします。 

健康教育ニュースNO.83 インフルエンザによると疑われる異常行動に注意 2019.1.25

厚生労働省は、全国のインフルエンザ流行拡大に伴い、インフルエンザによる異常行動が疑われる事故が発生していると注意喚起している。
以前からインフルエンザ治療薬服用による異常行動が心配されていたが、治療薬と異常行動との因果関係は明らかになっていない。そのため、厚生労働省は、発熱がある場合は意識障害(熱せん妄)が起きる可能性があり、まず外出を控え、静養すること。そして、治療薬を服用していない場合でも、発熱後2日程度は、できるだけ患者から目を離さないようにすること。部屋・窓の鍵はしっかり施錠することなど、注意を呼びかけている。

*国立感染症研究所は、インフルエンザの新しい治療薬「ゾフルーザ」を服用した横浜市の患者2人から薬が効きにくい耐性ウイルスを初めて検出したと発表した。ゾフルーザは、錠剤を1回飲むだけで治療効果が期待できるため、発売以来、使用が拡大していた。

健康教育ニュースNO.84「常に相手を尊重する」全豪女子オープンテニス 2019.1.28

世界中でスポーツにおけるインテグリティ(正直, 誠実, 高潔, 廉直)が問われる中、2019全豪オープンテニス女子シングルス決勝で、大坂なおみ選手とペトラ・クビトバ選手が見せたフェアプレーの精神は、勝敗を超え、さわやかな感動を呼んでいる。もちろん真剣勝負の中、二人は、ガッツポーズやラケットを振り下ろし悔しさをあらわにする場面もあったが、それは、決して相手に向けたものではなく、自分を鼓舞するものであった。クビトバ選手は、ラリー中ネットインでポイントを得たとき、大坂選手に手を挙げてSorryの気持ちを表していた。一方、大坂選手は、第2セットで3度のチャンピオンシップポイントを逃し、逆転でセットを失った。しかし、大声を出し悔しがった後は「ベストを尽くせば必ずチャンスは巡ってくる」と気持ちを切り替え、冷静に第3セットを闘った。精神面の成長がうかがえる場面であった。
実は、クビトバ選手は、2016年に自宅で強盗の被害に遭い、利き手の左手に重傷を負った。一時はコップを持つことができないほど握力が落ち、そのため公式戦で長い低迷が続いた。試合終了後の表彰式、準優勝の挨拶でクビトバ選手は、「努力してきました。ラケットを持てるかどうか分からないときも毎日励ましてくれたスタッフに感謝します。私にはその支えが必要でした」と語ると、会場に大きな拍手が沸き起こった。一方、大坂選手は、優勝の挨拶で多くを語らなかったが、対戦相手、観客、大会の運営にあたった人たち、チームのスタッフに感謝の気持ちを伝えていた。以前、剣道での「残心について」で伝えたが、どのような戦いであっても、相手に対する尊敬と感謝の気持ちをもつことこそがフェアプレーの精神であると私は考えている。
大坂選手が試合中、重要な場面でメンタルをコントロールするために、(深い)呼吸法を取り入れたり、腕を上下に動かし自分を励ましたりする動作を繰り返していたが、メンタルコントロールに課題を抱える者にとって、大坂選手の取組は大いに参考になるであろう。
最後に、表彰式でプレゼンターが大坂選手に贈った言葉を紹介する。「あなたの謙虚で粘り強い姿は若者に希望を与えました」    

健康教育ニュースNO.85 睡眠を引き起こす遺伝子発見 「nemuri」 2019.2.2

2月1日付けのアメリカの科学雑誌「サイエンス」に、アメリカのペンシルベニア大学で研究活動を行う戸田浩史博士らの日本人研究者グループが、睡眠を引き起こす新たな遺伝子を発見、と発表した。その遺伝子は、日本語をそのままに「nemuri」と名付けられた。
ショウジョウバエを使った研究で、過剰に働かせるとハエが長時間眠る遺伝子を見つけ、この遺伝子の働きを止めると、ハエが起きている時間は長くなるとしている。また、この遺伝子が働くと、ハエは細菌に感染しても長く生きたということで、細菌から体を守る免疫にも関わっているとしている。
研究グループでは、「nemuri」遺伝子は、睡眠時間の不足や細菌への感染など、体にストレスがかかったときに働いて睡眠を引き起こしていると見ている。「nemuri」遺伝子そのものはヒトでは見つかっていないが、戸田博士は「人間でもかぜなどにかかると眠くなり、眠れば治ることも多い。同じような仕組みが働いているのではないか」と話している。
                          NHKニュースから

健康教育ニュースNO.86 陸上「成長するために苦しみは欠かせない」 2019.2.4

世界最強のコーチ、マラソン界の魔術師と言われ、常に世界トップレベルのトレーニングを進めるイタリアのレナート・カノーバさんが、東京都中学校駅伝大会をめざす中学陸上部の駅伝チームを指導しました。
*レナートコーチが指導した選手がオリンピックや世界選手権の長距離、マラソンで獲得したメダルは48個にのぼります。
陸上競技等のアスリートだけではなく、様々な人の生き方に参考になる言葉を紹介します。
・成長するためには苦しみは欠かせない
・トレーニングは苦しいが、苦しみが大きいほど達成感も大きい。
・苦しむ準備ができていれば、苦しみには耐えられる。苦しみに向き合えば 自分の力を知ることができる。それに打ち勝つことで強くなれる。
・トレーニングは、体だけではなくメンタルにも良い効果がある。正しいト レーニングを行えば自信がついて強い気持ちで戦える。
・レース(大会)は、自分を表現できる喜びと考え、怖がる気持ちを頭から 全部消す。
・陸上は、10分で1位になるよりも9分20秒で6位の方が価値がある競技、 人と比べるのではなく、自分を伸ばすことだけを考えよう。
・皆を平等に練習させることは大切。しかし一人一人の記録を伸ばすために は、同じトレーニングをさせるのではなく、ときには区別することも必要
                         NHKスペシャルから
*トレーニング理論等、詳しくは「陸上 成長するために苦しみは欠かせない」(運動のページ↑)をご参照ください。

健康教育ニュースNO.87  OECD「日本の健診の見直しを」 2019.2.9

OECD(経済協力開発機構)は7日、日本の健康診断についての見解をまとめ、提言を発表した。それによると、日本人は健康診断を受ける機会は多いが、それが費用に見合う効果的なものなのか、健康診断の項目や頻度を見直す必要があるのではないかとしている。
さらに、日本ではいまだに喫煙率が高いこと、女性の飲酒量が増えていることに懸念を示し、健診に偏ることなく病気予防のための包括的な政策を取るべきであるとも指摘している。
日本の健診は、学校や会社で受ける法定の健診に加え、自治体が行うもの、個人で任意に行うものなど多様であるが、その分、項目や実施方法がばらばらであり、無駄な検査や不要なX線被曝が生じている可能性があると指摘している。また、日本のがん検診は、年齢や頻度、方法が自治体や職場の間で統一されていないため、国の指針に沿って一律に行うとともに、検査の質を向上させるべきであるとしている。

健康教育ニュースNO.88 北海道2020スペシャルオリンピックス 2019.2.12

2020年北海道で開かれる知的障害者のスポーツの祭典「スペシャルオリンピックス」冬期国内大会の主催団体が札幌市で会見を開いた。
大会会長である元マラソン選手の有森裕子さんが「2020というと、東京オリンピック・パラリンピックが思い浮かぶかもしれないが、その年に北の地でもう一つ、大事なオリンピックが開催されることを知ってほしい」と呼びかけた。
スペシャルオリンピックス冬季大会は今回で7回目である。来年2月21日~23日に札幌市や江別市、岩見沢市で、アルペンスキーやフィギュアスケートなど7競技を行う。なお、この大会は2021年にスウェーデンで開かれる世界大会の選考を兼ねている。
2020北海道スペシャルオリンピックス、2020東京パラリンピックでの観客席からの応援をよろしくお願いします。          

健康教育ニュースNO.89  WHO スマホ難聴を警告     2019.2.19

世界保健機関(WHO)は「世界の12歳から35歳までの若者のうち、ほぼ半数にあたるおよそ11億人が、長時間、大きな音に過剰にさらされ、難聴になるおそれがある」と警告しました。
世界保健機関が指摘しているような「騒音性難聴」になってしまうと、今の医学では治すのが難しいということです。世界保健機関は、「一度失った聴力は、元に戻らないということを理解してほしい」と警告しています。
世界保健機関などは対策として、1週間の安全な音の大きさの目安について、地下鉄の車内に相当する80デシベルで40時間までとしたうえで、安全な音量で音楽を楽しむためにすべてのスマートフォンや携帯音楽プレーヤーに音量を制限する機能や、一定期間内にどれくらいの音を聴いたのか表示する機能を備えるよう求めています。

健康教育ニュースNO.90  麻しん(はしか)の感染拡大   2019.2.20

国立感染症研究所は19日、最新の麻しん(はしか)の患者数を発表した。今年に入って167人に上り、過去10年で最多のペースで増えている。都道府県別では三重県49人が最多で、大阪府47人、愛知県17人、東京都11人となっている。
麻しんは、感染力が極めて強いウイルスによる感染症で、飛まつ感染や接触感染だけでなく、空気感染も起きる。感染力の指標で、1人の患者から何人の人に感染させる可能性があるかを示す基本再生産数は、インフルエンザでは1人から2人であるのに対して麻しんは10人から20人とされ、感染力は10倍以上とする報告もある。麻しんは、ウイルスの感染から約10日後、発熱や咳、くしゃみなど、かぜのような症状がみられる。その後、39度以上の高熱や全身に発疹が出るのが特徴である。ウイルスが肺や脳に入ったり抵抗力が落ちたりして、患者の6%ほどでは肺炎が起きるほか、患者の0.1%ほどで脳炎を発症するとされ、悪化すると、死亡することもあります。また、感染して5年から10年ほどしてから10万人に1人の割合で脳炎が起きる「亜急性硬化性全脳炎」が起きることも知られている。
麻しんは、手洗いやマスクでは予防できず、免疫のない人はほとんどが発症し、治療薬はない。ワクチンによる予防が最も有効であるとされる。
*詳しくは、「文部科学省 麻しん対策ガイドライン」(疾病・けが予防・ 感染症の頁↑中段赤帯)をご参照ください。

健康教育ニュースNO.91スギ花粉の飛散が本格化、予防対策を 2019.2.21

20日、関東全域を含む1都14県でスギ花粉の飛散が本格化していると気象情報会社から発表があった。同社によると今年の花粉飛散量は、前年比群馬県6.83倍、神奈川県5.64倍、東京都4.26倍、長崎県3.13倍などと予想され、全国的に前年を大きく上回る見通しで、早めの予防対策が必要とされる。
花粉症は、スギやヒノキなどの花粉によって起こるアレル ギー疾患で、 体内に花粉などの異物(抗原)が入ると、それに結合する免疫たんぱく質(IgE抗体)が作られ、異物を排除しようと免疫反応が起こる。アレルギーとはその免疫反応が過剰に起こる状態であり、アレルギーの原因がスギ花粉やヒノキ 花粉などの「花粉」である場合に花粉症となる。 代表的な花粉症の症状は、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみで、これは、鼻と目が外気に接しているため花粉に触れる機会が多く、さらに免疫反応に関係の深い粘膜組織を持つことから、花粉に対するアレルギー症状が起こりやすいためと考えられている。都は、平成28年度に都内の3地区で花粉症患者の実態調査を行い、その結果、都内(島しょ地区を除く)の症状の軽い方を含むスギ花粉症推定有病率は48.8% だった。調査を始めた昭和58年度から一貫して上昇している。
*東京都福祉保健局「花粉症一口メモ 2019」から引用 
なお、予防対策など詳しくは、「環境省 花粉症環境保健マニュアル」等(環境と健康の頁↑)をご参照ください。

健康教育ニュースNO.92いじめ防止へ「人権教室」の活用を検討2019.2.22

学校でのいじめ防止に向け、法務省と文部科学省との連携が進められている。2019年度から小中学校の道徳の授業で、法務省の人権啓発活動である「人権教室」を積極的に活用することが柱となる。
人権教室は法務大臣の依嘱を受けた民間ボランティアの人権擁護委員が中心となって実施されているもので、すでに一部の学校で取り入れられている。2017年度の文部科学省「問題行動・不登校調査」で自殺などの重大事態の発生件数が過去最多となったことを踏まえ、法務省が文部科学省に協力を依頼し、上記の内容の実施が検討されている。

健康教育ニュースNO.93音があれば何でもできる自分の限界の向こうへ 2019.2.25

講演等で全国にパラ陸上競技の魅力を伝えている、東京パラリンピック女子走り幅跳び(視覚障害・障害が重いクラス)で金メダルをめざす高田千明選手の特集がNHK「超人たちのパラリンピック」で放映(再放送)された。障害が重いクラスの日本記録を更新し続ける高田選手は、2018年、世界ランキング5位4.48m。1位はブラジルの選手で5.17m。高田選手は、まず、5mを超えるため、より真っ直ぐ助走できるように、体のバランスを修正するトレーニングを積み重ねている。走り幅跳びは他のパラ陸上競技と違い、目の役割を担う伴走者はいない。そのため高田選手は、助走や跳躍のタイミング・リズムを知らせるコーラーの声から位置や方向などを正確に読み取る能力を研ぎ澄ませてきた。競技時は、猛烈な集中力で晴眼者と変わらない走力を発揮するまでになった。高田選手の現在の課題は跳躍である。健常者の日本記録保持者、井村久美子さんのような滞空時間の長い跳躍をめざしている。①力強い踏切②空中姿勢③体を折りたたむようにしながら両腕を振り下ろす着地姿勢④着地と、すべてをタイミングよく連動させなければ、5mは超えられない。高田選手は語る「何か壁に当たったり、何か障害があったりすると、これ以上できないのではないか、自分にはそういう能力がなかったとか、こういうものがあったから駄目だったと思いがちの人が多い。そうではなくて、やろうと決めて突き詰めれば、どんなことがあっても、何でもできると思う」
『目が見えなくても音があればできないこといはない』自分の限界の向こうへ、高田選手のチャレンジは続く。

健康教育ニュースNO.94 震災を乗り越えて 姫路城マラソン 2019.2.27

24日、兵庫県姫路市で「世界遺産姫路城マラソン2019」が開催された。約1万2000人のランナーが姫路城周辺を走り抜けた。東日本大震災直後から姫路市が職員派遣などの支援を続ける宮城県石巻市の小学生25人も招待され、2kmコースを力走した。2015年から始まった姫路城マラソンは今年で5回目となる。今回が最後の招待となる石巻市の6年生は、そろいの黄色いTシャツを着て、東北の復興をアピールした。
一方、東北の被災地でも、復興支援マラソンが開催されている。 
・岩手県陸前高田市「復興の道しるべ陸前高田応援マラソン」 11月
・宮城県登米市「東北風土マラソン」 春
・宮城県松島町、東松島市「松島ハーフマラソン大会」 10月
・宮城県 亘理町、岩沼市、名取市「東北・みやぎ復興マラソン」 秋
・福島県いわき市「いわきサンシャインマラソン」 2月、 などである。

健康教育ニュースNO.95  2020に向けて「東京マラソン」 2019.3.4

3日、13回目となる「東京マラソン」が開催されました。終始小雨の降る低温の中、スポーツタイプの車いす(車いすマラソンエリート)ランナーを先頭に、国内外の招待選手が続き、最後に抽選で選ばれた市民ランナーがゴールをめざしコースを走り抜けていきました。視覚障害の方も伴走者と共に力走されていました。参加者はこれまでで最も多い3万7951人。運営には、約1万1000人のボランティアの方が支援、約2万人の警察官・民間警備員の方が警備にあたりました。2019東京マラソンは、2020東京オリンピック・パラリンピックと一部重複するコースがあるため、今回の運営のノウハウは東京オリンピック・パラリンピックの運営に生かされると期待されています。
この大会で特に印象に残ったのは、35kmを超え、一番苦しい状況でありながら、沿道に立つボランティアの方や役員に対して「寒い中、ありがとうございます」と走りながら声をかけてくださるランナーが多かったことです。「何のために走るのか」という問いの答えがそこにあるように感じられた、冷たい雨の東京マラソンでした。 

健康教育ニュースNO.96 発達障害児への支援マニュアル作成 2019.3.22

文部科学省と厚生労働省は、発達障害児への支援を強化するため、2019年度中に学校や保護者、関係諸機関が連携を深めるためのマニュアルを作成するとしている。
これは、文部科学省の調査で、通常の学級に在籍する発達障害がある公立小中学生は、2007年度は4万3127人であったが、2017年度は10万6400人と、約2.5倍に増えているという調査結果を受けてのものである。
このマニュアルは、教育と福祉関係者、保護者間の情報共有などを通じ、発達障害児への効果的な指導やトレーニングの実現をめざすものである。

健康教育ニュースNO.97 イチロー選手が積み上げてきたもの 2019.3.23

シアトルマリナーズ、イチロー選手が残した数多くの偉大な記録の中でも、不滅の記録といわれるものがある。シーズン最多安打262本と10年連続200安打である。私は、少なくとも今後100年は破られないようなスケールの記録であると思っている。以下、子供たちに向けたイチロー選手のメッセージ。
「野球だけでなくてもいいんですよね、始めるものは。自分が熱中できるもの、夢中になれるものを見つければそれに向かってエネルギーを注げるので、そういうものを早く見つけてほしいと思います。それが見つかれば、自分の前に立ちはだかる壁にも、壁に向かっていくことができると思うんです。それが見つけられないと、壁が出てくるとあきらめてしまうということがあると思うので。いろんなことにトライして。自分に向くか向かないかよりも、自分の好きなものを見つけてほしいなと思います」
「人より頑張ることなんてとてもできないんですよね。あくまで測りは自分の中にある。自分の限界を見ながらちょっと超えていくということを繰り返していく。そうすると、いつの間にかこんな自分になっているんだという状態になって。だから少しずつの積み重ねが、それでしか自分を超えていけないと思うんですよね。一気に高みに行こうとすると、今の自分の状態とギャップがありすぎて、それは続けられないと僕は考えているので。地道に進むしかない。進むというか、進むだけではないですね。後退もしながら、自分がやると決めたことを信じてやっていく
最後に私の好き言葉を紹介させていただく。「できるかできないかではなく、やりたいと思ったことに挑戦しよう。そうすれば、たとえ結果が良いものでなくても後悔はしないはず」イチロー           

健康教育ニュースNO.98 そこに真の指導者の姿を見た  2019.3.24

オーストラリアでパラリンピック競泳チームを長年率いてきたグレイアム・キャロルコーチが指導した選手が獲得したメダルは100個以上にのぼる。
グレイアムコーチは「目が不自由だからといって、何かができないということはない」と語る。お手本や映像が見られず、指導が難しい視覚障害の選手に対して、グレイアムコーチは、一人一人の能力や泳ぎの技術に合せて身近な道具を使い、指導内容がイメージしやすいように工夫しながら練習に取り組ませている。パラ水泳競技は、障害の程度により、クラスが分かれている。
S13 ぼんやり見えるクラス
S12 目の前にあるものがほとんど見えないクラス
S11 全く見えないクラス
「オーストラリアでは健常者と障がい者を分けて指導しない。障がい者の秘められた能力を高めていくことはやりがいのある仕事。できるだけSimpleな指導を心がけている」とグレイアムコーチは語る。しかし、日本では、視覚障害の水泳選手が練習をしようとしても、練習場から「安全が確保できない」という理由で、断られることが多いとされる。そのため何時間もかけて練習場に通う選手もいて、パラ水泳選手のための練習場を整備する必要がある。
パラ水泳選手が海外派遣選手や強化選手になるためには、ハイレベルな派遣標準記録を突破しなければならない。そのため大会に向け、選手はタイムにこだわる気持ちが強くなるが、グレイアムコーチは「大事なことはタイムではなく、練習で身に付けた技術を大会で出せるかどうかで、みんなには自信をもって自分の力を出し切ってほしい」「大会は成長した自分の姿を見てもらう絶好の機会。どんな結果であっても受け入れて、次につなげてほしい」と励ます。
グレイアムコーチは、選手から、できるようになったことへの感謝の言葉を聞いたとき、涙を流して共に喜ばれていた。私は、そこに選手に寄り添う真の指導者の姿を見た思いである。 *NHK「奇跡のレッスン」から 

健康教育ニュースNO.99 ニューヨークで被災地支援の合唱祭 2019.4.5

東日本大震災や西日本豪雨の被災地を支援しようと、アメリカニューヨークの音楽の殿堂カーネギーホールで3日、日本と米国のグループによる「合唱フェスティバル」が開かれました。
西日本豪雨で被害が出た岡山県倉敷市や総社市のメンバーがいる合唱団も参加しました。
文化芸能を通じた国際交流の促進をめざす日本の団体が2012年からほぼ毎年開催し、今年は米国の大学生のグループや聖歌隊、日本や在米日本人の合唱団などが集まりました。
倉敷市を中心にした35人による女声合唱団「TOMO」は、映画「天使にラブ・ソングを…」の劇中歌のゴスペルなど3曲を熱唱しました。
(以上、ニューヨーク共同通信から)
*私たちも一人一人、被災地に向け支援を続けていきたい。  

健康教育ニュースNO.100悪い食習慣は有害(塩分取り過ぎに警鐘)2019.4.6

悪い食習慣は健康に有害と結論付ける国際的な研究者グループによる論文が3日、英医学誌ランセットに掲載された。2017年の1年間で、食習慣が原因で世界全体で約1100万人が死亡したという。
一方、アメリカワシントン大学の研究者らは塩分の取り過ぎに警鐘を鳴らすとともに、玄米などの全粒穀物や果物、ナッツなどを多く食べるよう勧めている。調査結果によると、悪い食習慣が原因の死亡は成人の全ての死因の約22%に上る。具体的には、世界全体で塩分の過剰摂取により約300万人、全粒穀物の過少摂取で約300万人、果物の過少摂取で約200万人が死亡したという。
論文は「不適切な食習慣が喫煙を含む他のどのリスクよりも多くの死因となっている」と指摘。「国を超えて、食事の改善が緊急に必要であることを強調している」と警告した。調査は世界195カ国・地域で1990年から 2017年までの死因などに関するデータを活用。食習慣の健康に対する影響を分析した。(以上、ロンドン時事通信から)
これからも、健康教育における食育の推進は欠かせない。  

健康教育ニュースNO.101  2020パラリンピック 競技のピクトグラム 2019.4.15

2020パラリンピックの開会式まで500日となった13日、大会組織委員会がパラリンピックで実施する22競技23種類の絵文字・ピクトグラムを発表した。躍動する選手の動きを表し、世界中から訪れる観客が理解できるように工夫された図案となっている。陸上はスタート時の選手の片足が義足で、競泳も片腕に障がいのある選手が泳ぐ姿がデザインされた。
東京都内で開かれた発表会に出席したトライアスロン女子 谷 真海選手は「道具と体の融合がパラリンピックの見所でもある。それを分かりやすく表現していると思う」と述べた。
大会組織委員会によると、競技ピクトグラムが初めて作られた1964東京オリンピック当時は、パラリンピックのピクトグラムはなく、1988年インスブルック冬季大会で初めて採用されたということである。
*ピクトグラムの図案は、「オリ・パラ」のページ↑をご参照ください。

健康教育ニュースNO.102  18年ぶり公立夜間中学校の新設 2019.4. 17

全国で18年ぶりの新設となる公立夜間中学校が16日埼玉県と千葉県で開校しました。夜間中学校は、不登校などで義務教育を受けられなかった人のために設けられた学校で、通常の公立中学校と同じ授業を行うほか、必要に応じて日本語も指導します。増加する外国人の学びの場にもなるとして、国は2022年度までに全都道府県での設置をめざしています。
埼玉県川口市は、半数以上を占める外国人生徒向けに通訳を配置したほか、日本語や日本のマナーや文化を教える独自のカリキュラムを盛り込んでいます。入学した生徒は「日本の歴史を学んで、友達をたくさん作りたい」とか「日本語をしっかり勉強して将来は花屋を開きたい」などと話していました。   *NHKニュースから

健康教育ニュースNO.104 インフルエンザ再流行・10連休医療情報 2019.4.26

厚生労働省は26日、インフルエンザ再流行の兆候があると発表しました。連休明け、各園・学校・施設でインフルエンザ感染拡大防止に向け、手洗い・うがい・咳エチケットの徹底が必要です。
*詳しい情報は、疾病・けが予防・感染症のページ↑「厚生労働省 インフルエンザに関する報道発表資料(随時更新されている)」を参照ください。
同時に10連休の医療情報「2019年4月27日から5月6日までの10連休における各都道府県の医療提供体制について」ホームページhttps://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04364.htmlに公開しました。

健康教育ニュースNO.105女性へのAEDの使用に抵抗感があるか 2019.5.6

京都大学などの研究グループは、平成20年から27年にかけて全国の学校の構内で心停止になった子供232人について、救急隊が到着する前にAEDのパッドが装着されたかどうかを調べた。その結果、小学生と中学生では、男女の間で有意な差はなかったが、高校生では、男子生徒の83.2%にパッドが装着されたのに対して女子生徒は55.6%と、30ポイント近く低くなっていた。
AEDは心臓の動きを正常に戻す医療機器で、鎖骨の下などの素肌に直接パッドを貼る必要があり、研究チームでは女子高校生の場合、近くにいた人たちが素肌を出すことに一定の抵抗感があったのではないかと分析している。
心停止の状態で何もしないと、救命率は1分たつごとに約10%ずつ下がる。救急隊の到着する前にできるだけ早く胸骨圧迫=心臓マッサージをして、AEDを使用することが大切である。そのため、研究グループのメンバーで京都大学健康科学センターの石見拓教授は「AEDは電源を入れ、2枚のパッドを素肌に貼るが、服をすべて脱がす必要はなく、下着をずらして右の鎖骨の下と左の脇腹の辺りに貼ることで対応できる。貼った後は、上から服などをかけてもよい。女性であっても男性と同じだけの救命のチャンスが与えられるべきで、訓練の場などで女性への対応のしかたを広く伝えていきたい」と話している。                  *NHKニュースから

健康教育ニュースNO.106障がいのある子供も安全に遊ぶことができる遊具設置 2019.5.12

障がいのある子供も安全に遊ぶことができる遊具が、来年3月末をめどに、東京の都立公園に初めて設置されることになった。遊具が設置されるのは、世田谷区にある「砧公園」と、府中市にある「府中の森公園」の2つの都立公園。東京都によると、障がいの有無にかかわらず、一緒に遊ぶことができる遊具を設置してほしいという要望が出されたことから、今回2つの都立公園を改修し、新たな遊具を設置することとなった。
具体的には上半身を支える力が弱い子供も乗ることができる背もたれのあるブランコや、車いすに乗ったままの状態で遊ぶことができるスロープの付いた大型の遊具などの設置を検討している。こうした遊具の周辺には、子供が万一、落下した場合の安全対策としてマットを敷くほか、休憩場所には車いすに乗ったままで利用できるテーブルなども整備するということである。
都によると、こうした遊具は、東京では国営の昭和記念公園に設置されているが、都立公園では初めてということで、来年3月末の完成をめざし、整備を進めることにしている。    *NHKニュースから

健康教育ニュースNO.107 認知症予防に運動が重要 2019.5.15

WHO世界保健機関は14日、世界的に増加している認知症の予防のための新たな指針を公表した。運動の習慣や健康的な食事、禁煙が重要だとしている。WHOによると、認知症患者は、推計、世界に5000万人おり、毎年約1000万人が新たに発症している。
指針は12項目からなり、特に効果的な予防策として、定期的な運動を挙げた。1週間に少なくとも150分の中程度の有酸素運動が望ましいとしている。また、バランスの取れた食事も挙げ、芋類を除く野菜や果物を1日に少なくとも400g以上摂取するよう勧めている。
厚生労働省によると、認知症は脳の神経細胞が死んだり働きが悪くなったりすることで、物忘れや妄想などの症状が出て、日常生活に支障がある状態で、高血圧と糖尿病も認知症のリスクを高めるとしている。日本の認知症は、2025年には約700万人まで増えると推計している。

健康教育ニュースNO.108 WHO「ゲーム障害」を国際疾病として認定 2019.5.25

WHO(世界保健機関)は25日、ゲームに熱中し日常生活が困難になる「ゲーム障害」を国際疾病として正式に認定した。WHOは2018年に病気の名称や症状を示す「国際疾病分類(ICD)」の最新版にゲーム障害を追加していた。パソコンやスマートフォンなどの普及で各国でゲーム依存の問題が深刻化し、健康を害する懸念は強まっている。厚生労働省によると、日本ではオンラインゲームを含めた病的なネット依存が疑われる中高生が推計93万人と過去5年間で倍増した。WHOはゲーム障害をギャンブル依存症などと同じ精神疾患と位置付けることで治療研究を後押しする。病気として診断する根拠が明確になるため患者にとっては会社や学校を休んで治療に専念できるようになる。
WHOによると、ゲーム障害は、テレビやパソコン、スマートフォンなどでゲームをしたい欲求を抑えられず、飲食ができなくなったり、仕事に行けなくなったりするなど生活に支障をきたしている状態のことを指す。
具体的には、ゲームをする頻度や長さ、始めたりやめたりするタイミングなどを自らコントロールすることができず、健康を損なうなどの影響が出ているにもかかわらず、ゲームを続けてしまう状態が、原則少なくとも1年以上続き、家族関係や社会的な生活に影響を及ぼしている状態を「ゲーム障害」として障害のひとつに位置づけた。

健康教育ニュースNO.109 WHO性同一性障害を「精神障害」の分類から除外へ2019.5.26

WHO(世界保健機関)は総会で、心と体の性が一致しない性同一性障害について、「精神障害」の分類から除外することで合意し、その名称を「性別不合」に変更した。
「性同一性障害」を精神障害の分類から除外することで合意したことについて、WHOで「国際疾病分類」を担当するロバート・ヤコブ氏は「性同一性障害は精神的な病気でも身体的な病気でもないとわれわれが考えるようになることは、社会にとって強いサインになるだろう」と述べ、その意義を強調した。そして、今回の変更によって、これまで「性同一性障害」の人たちが受けてきた差別が解消されることに期待を示した。
心と体の性が一致しないトランスジェンダー、性同一性障害の人たちがみずから望む性で暮らせるよう、各国は、法律上、性別を変更したり、名前を変更したりといった制度を設けている。また、生殖能力をなくす手術をめぐっては、WHOは、2014年、性別変更のために手術を受ける必要があるとすることに反対する声明を発表している。    *NHKニュースから

健康教育ニュースNO.110自閉症スペクトラム障害の患者にオキシトシン投与で症状が改善傾向

対人関係を築くことが苦手な「自閉スペクトラム症」の患者に、愛情を高めるホルモンとして知られる「オキシトシン」を投与すると症状が改善する傾向を示したと、浜松医科大学などの研究グループが公表し、「薬の開発につながる成果だ」としている。「自閉スペクトラム症」は自閉症やアスペルガー症候群などと呼ばれる発達障害の一種で、コミュニケーションが苦手で、100人に1人以上の割合でいるとされているが有効な治療薬はない。
浜松医科大学などの研究グループは、「オキシトシン」を患者に6週間投与してコミュニケーション能力の指標の1つである会話中の喜びや驚きなどの表情の豊かさを画像解析で数値化し、投与していない患者との差を分析した。その結果、オキシトシンを投与した患者は、投与されていない患者よりも表情の豊かさの値が0.41から0.53高く、投与を終えて2週間経過しても1.24高くなったということである。研究グループでは、「オキシトシン」の効果が持続したとみていて、製薬会社とともに薬として承認を受けるための臨床試験で安全性と効果を確認したいとしている。浜松医科大学の山末英典教授は「薬の開発につながる成果で、当事者の人たちが社会に参加しやすいようにしていきたい」と話している。  *NHKニュースから

健康教育ニュース NO.111「鉄剤注射根絶を」日本陸上競技連盟指針2019.6.4

日本陸上競技連盟は5月30日、一部の高校駅伝選手等に貧血治療用の鉄剤注射が不適切に使用されていた問題で、不適切な鉄剤注射の防止に関する指針、ガイドラインを発表した。
・他に治療の選択肢がある状態での鉄剤注射を根絶する
・「大事な試合の前」「うまく走れない」などは、鉄剤注射を打っていい理
 由にはならない
・食事の増量や運動の抑制で、低体重・低栄養を予防する
・全国高校駅伝大会では、血液検査結果に異常値などがあれば、出場停止な
 どの可能性もある
指針では、鉄剤注射が「若い競技者の生涯にわたる身体的・精神的な健康を阻害する」と指摘している。また、繰り返して使用した場合は、鉄の過剰摂取状態に陥り、肝機能障害などを引き起こす恐れがあると説明している。

健康教育ニュース NO.112 麻しんの感染者の増加 2019.6.5

国立感染症研究所は、6月4日、麻しんの感染者の報告数が今年に入って5月26日までに566人となり、昨年1年間の2倍となったと発表した。都道府県別では、
・大阪142人 ・東京96人 ・三重54人 ・神奈川県50人 愛知37人などとなっている。免疫のない人は、引き続き予防が必要である。
また、風しんの感染者は、今年の累計1624人で、昨年の夏以降、流行が続いているとしている。

健康教育ニュース NO.113 ジョギングで社会貢献『プロギング』 2019.6.9

日本陸上競技連盟は、東京都渋谷区でジョギングをしながら、ごみ拾いをするという、体力づくりと社会貢献を同時に行う走り方を体験してもらうイベントを実施した。
参加者たちは渋谷区中心部のビルの前から代々木公園に向けてジョギングをしながら、ごみを集めた。この走り方は、スウェーデン語の「拾う」を意味する「プロッカ」という言葉と「ジョギング」を組み合わせて『プロギング』と名付けられている。作業用の手袋を着けてごみ袋を持った参加者たちは、ジョギングをしながら歩道に落ちているたばこの吸い殻やペットボトルなどを拾っていた。参加した24歳女性は「ふだんは速く走っているので、ごみを拾いながらだと動きが止まり慣れるのが難しいですが、走りながらボランティア活動もできて、よい気分になりました」と話していた。
日本陸上競技連盟は「走ることを、速く走ってタイムを競ったり苦しかったりするというイメージではなく、楽しいことや社会貢献できることとして多くの人に認識してもらい、走って健康になる人がより多くなることを願っています」と話している。   *NHKニュースから

健康教育ニュース NO.114 若者の斜視にスマートフォンなどが影響か 2019.6.9

日本弱視斜視学会などは、去年12月から今年2月にかけて全国の眼科医を対象にスマートフォンなどと斜視の関係を調べるアンケート調査を行い、369人から回答があった。
それによると、去年1年間に後天的に瞳が内側に寄って戻らなくなる「急性内斜視」の若者を診察したと回答した医師が全体の42%に上った。このうち「スマートフォンなどの使用が関連していると思う症例があった」と指摘したのは77%で、学会ではスマートフォンなどの過剰使用が斜視に影響している可能性があるとして、全国の患者を対象に長期的な調査を進め因果関係を調べたり予防方法に向けた提言を打ち出したりしていくことになった。
調査ではスマートフォンなどの使用頻度や画面と目との距離、それに一定期間、使用を控えた際の改善状況、取り入れた治療方法などを定期的に報告してもらい、3年後をめどに予防方法に向けた提言をまとめ、斜視となった際の効果的な治療方法も探ることにしている。  *NHKニュースから

健康教育ニュース NO.115視覚過敏で「光」「色」がストレスに 2019.6.17

視覚過敏を緩和する対処法のポイント
◎サングラスや遮光レンズメガネの使用、ディスプレイの輝度を下げるなど、光による刺激をなるべく減らす工夫をする
◎疲労が溜まったり不安が強くなったりすると、視覚過敏症状が出やすくなるようなので、早め早めの休息を心がけ、自分なりにリラックスできる方法をいくつか見つけておくことが大切
◎視覚過敏があることや、どんな時につらくなるかを周囲に説明し、理解者を増やしていくことも大切。その上で、例えば次のような配慮を周囲に相談してみる
・照明から遠い場所や、角や壁ぎわの席など、職場の中でなるべくまぶしくない座席にしてもらう
・光を遮るパーティションやボックスを自分のデスクに置かせてもらう
・職場や学校などに、つらくなった時のクールダウンスペースを設けてもらう
◎真っ白な紙がまぶしくて文字が読みにくいときは
・色のついた透明な下敷きを重ねる
・パソコン用メガネをかける
・定規などで文字を隠して少しずつ見るようにする
教科書を色のついた紙にコピーして読み、ノートは色のついた紙を使う
テスト用紙は色のついた紙に印刷してもらう
などの対処法があり、特に学校では、視覚過敏の子供たちへの配慮が必要である。      *NHK「発達障害って何だろう」から

健康教育ニュース NO.116 「心も一つ音も一つ」 2019.6.23

“吹奏楽指導の神様”と呼ばれる屋比久勲さんは、半世紀に渡り九州、沖縄の学校で吹奏楽部を指導してきた。全国大会に32回出場する中で、金賞を14回受賞している。屋比久勲さんの指導モットーは「心も一つ音も一つ」。数多くの生徒の個性や能力を引き出してきた。
今月の屋比久勲 追悼演奏会では教え子たち60人がかけつけた。原田幸典さんは、鹿児島情報高校を全国大会に導こうとしている。25年前、高校時代に屋比久勲さんにトランペットパートの主席として指導を受けた。生徒の力を引き出す秘策は、演奏から生徒一人一人の心を読み取り、伸びた時に全体の前で褒めるなど、褒めるタイミングのうまさにあったという。また、成長する時に手を出してはいけないというのが屋比久勲さんの教えだった。
吹奏楽のコンクールは来月以降各地で予選が開催される。*NHKニュースから

健康教育ニュース NO.117 手足口病の流行 2019.7.2

乳幼児の口の粘膜、手や足に小さな水泡ができる手足口病の患者が過去10年で最多のペースで増えていると、2日、国立感染症研究所が発表した。例年は7月中旬から下旬にピークを迎えることから、専門家は、手洗いで予防する(タオルの共有を避ける)よう呼びかけている。全国約3000の小児科から報告があった患者の総数は、6月17日~23日の1週間で1万6417人だった。
都道府県別、1医療機関あたりの患者数は、
・福岡 17.33人  ・福井 15.26人  ・佐賀 13.17人 
・鳥取 11.84人  ・高知 10.07人  ・三重 10人
等、計24府県で流行の警報を出す基準を超えた。

健康教育ニュース NO.118パラ陸上全盲のアスリート 走り幅跳びに挑む 2019.7.7

6日から東京 町田市で始まったパラ陸上の大会には、来年の東京パラリンピックで活躍が期待されるトップ選手が参加した。女子走り幅跳びの視覚障害が最も重いクラスには、リオデジャネイロパラリンピックの代表で、おととしの世界選手権で銀メダルを獲得した高田千明選手が出場した。
高田選手は全く目が見えないため、「コーラー」と呼ばれる先導役が手をたたいたり声を出したりして、助走の方向や踏み切りのタイミングを知らせる。コーラーは、アトランタオリンピック陸上の日本代表、大森盛一さんが務め、高田選手は大森さんの歩数を数える声を頼りに踏み切りを行った。
最後の6回目の跳躍では、斜めの方向に跳んだものの、自らの日本記録にあと1センチに迫る4メートル48センチの好記録をマークした。しかし、東京パラリンピックの出場権が懸かる11月の世界選手権の派遣記録には3センチ届かず、「派遣記録を切れていないのがプレッシャーになって、前へ行きたいという思いが体を突っ込ませてしまっている。次の大会では余裕で派遣記録を切って、世界選手権の代表を勝ち取りたい」と話していた。  
                     *NHKニュースから

健康教育ニュース NO.119 手足口病さらに感染拡大 要警戒 2019.7.9

9日、国立感染症研究所によると、6月24日から30日までの1週間に、全国約3,000の小児科から報告された「手足口病」の患者数は、2万1,258人で前週よりもさらに増加し、過去20年で最も患者数が多くなっている。
1医療機関あたりの患者数は6.7人。都道府県別では、
福井 21.78人、福岡 16.09人、鳥取 14.26人など、31都府県で警報レベルの5人を超えた。
厚生労働省は、排便後の手洗いを十分に行うこと、タオルを共用しないなど、注意を呼びかけている。

健康教育ニュース NO.120 健診データの電子化を推進 2019.7.20

18日、厚生労働省は、学校や会社、地域で受診する健康診断、がん検診等の結果の電子化を徹底し、できるだけ長く保存するよう自治体や健康保険組合に求める方針を固めた。
健診を受けた人が過去の記録をインターネットで確認できるようにし、健康づくりに役立ててもらうのが目的であるとする。年内に関連する法律の指針を改正する予定である。
現在、学校や職場の健診は紙で保存されている場合が多く、保存期間の規定がないものもある。そのため、厚生労働省の専門家委員会は、健診結果の電子化とともに、結果を生涯を通じて比較できるよう長期保存することを提言している。

健康教育ニュース NO.121 パラ陸上大会で日本記録更新 2019.7.21

岐阜市で20日開幕したジャパンパラ陸上の腕に障がいがあるクラス男子100mで、石田 駆選手が11秒18の日本新記録で優勝した。
また、女子走り幅跳びの視覚障がいが最も重いクラスに出場した、全盲の
高田 千明選手は、自身の日本記録を11cm更新する4m60cmを跳んで優勝した。
さらに、冬季パラリンピックスノーボード金メダリストの成田 緑夢選手は、男子走り高跳びT44クラスに出場し、自身の日本記録を2cm更新する1m86cmの日本新記録をマークした。
共に東京パラリンピックの出場権を争う11月にドバイで開催される世界選手権の代表に内定した。

健康教育ニュース NO.122東京パラリンピック男子100mに挑む 2019.8.3

パラ陸上日本代表の井谷 俊介選手は、大学在学中の2016年2月にバイク事故に遭い、右下腿部を切断。失意の中、前向きに生きることを決意、義足のランニングチームに参加するなど、パラ陸上にチャレンジしている。
陸上を始めて8ヶ月後、パラ陸上の有力者が出場する大会、陸上男子100mT64クラスで見事に優勝。その後のアジアパラ陸上大会では予選でアジア新記録11秒70をマークし、金メダルを獲得。2019ジャパンパラ陸上大会でも優勝。来年の東京パラリンピック陸上男子100mT64などで金メダルをめざす。
井谷選手は「競技用義足の反発力を前に進む力に変えて走るのが難しい。しかし、タイミングよく走ることができたときは、風を体全体で感じられ、とても楽しい」と、走る楽しさを語っていた。

健康教育ニュース NO.123注意が必要な76種類の感染症に関する解説 2019.8.5

日本感染症学会は、東京オリンピック・パラリンピックに向け、注意が必要な76種類の感染症に関する解説をホームページに掲載している。発熱や下痢、発疹などの症状から想定される感染症の種類を挙げ、それぞれ治療法などの対応策をまとめている。
東京オリンピック・パラリンピックの開催期間中は、東京に多くの人が集まる。そのため、感染症がうつる可能性も高まる。また、国内ではあまり見られない様々な感染症が海外から持ち込まれる恐れもあり、日本感染症学会は、こうした患者の診断や治療に役立ててもらうためにこの解説を作成した。
*「疾病・けが予防・感染症の頁↑」に掲載(日本感染症学会HPへリンク)

健康教育ニュース NO.124 がん5年生存率66.1%前年比0.3P上昇2019.8.10

国立がん研究センターは2009年~2010年にがんと診断された患者の5年生存率が、全てのがんを合せて66.1%だったと、8日に発表した。昨年の集計比0.3P上昇した。しかし、部位別では、生存率に差があり、早い段階で発見できる検査法や有効な治療法の開発が課題となっている。
全国がん診療連携拠点病院等277施設の約57万人を追跡調査した部位別結果
前立腺がん98.6% 乳房92.5% 子宮体82.1% 子宮頸75.3% 大腸72.9%
胃71.6% 膀胱69.5% 食道44.4% 肺40.6% 肝臓40.0% 膵臓9.6%
国立がん研究センターは「死亡率の減少につながるがん検診を定期的に受け、気になる症状が出たら、早めに病院に行くことが大切」としている。

健康教育ニュース NO.125 パラ陸上ユニバーサルリレー 2019.8.15

東京パラリンピック開幕まであと1年余りとなった。今注目されているのは、パラ陸上の魅力を凝縮させたような種目「ユニバーサルリレー」だ。
2020東京大会で初めて採用されるユニバーサルリレーは、男子2人・女子2人の計4人で行われるリレーである。大きな特徴は、「視覚障害」「切断と機能障害(立位)」「脳性まひ(立位)」「車いす」の順番で走る400mリレーであること。男女の走る順番が自由に選べることから、チームとしての戦略も重要となる。
ユニバーサルリレーではバトンではなく、手で背中をタッチしてつなぐ。ガイドランナーが伴走する視覚障害者や、義足、車いすと、障害の種類が違うことなどから、タッチワークを磨けば、つなぐ時間を短縮でき、全体のタイム向上につながるとされている。

健康教育ニュース NO.126ラグビー日本代表のチャレンジに感謝2019.10.14

13日、ラグビー日本代表は、強豪スコットランド代表に28対21で勝利し、ラグビーワールドカップで初めてベスト8に進出した。日本代表は一次リーグ一戦一戦で力を付け、世界ランク上位のチームを撃破してきた。勝利するたびに国民の期待も膨らみ、選手にかかるプレッシャーは、計り知れないものであったに違いない。その中で、決して守りに入ることなく、ミスを恐れず果敢にボールを回しトライにチャレンジする姿は、多くの人を勇気づけた。
*今から50年ほど前、日本ラグビーが、国際的な評価を得られなかった時代、日本代表監督に就任した大西鐵之祐さんは、日本人の俊敏さを生かす新たな戦術を次々と生み出し、強豪国と名勝負を繰り広げた。昭和43年には、ニュージーランドのオールブラックスジュニアを破り、世界を驚かせた。そして、昭和46年にはラグビー発祥の地、イングランドを3点差に追い詰める接戦を演じた。 *NHKスペシャルから一部引用
日本代表の現在の活躍につながる原点がそこにある。ラグビーの勝負では、体格の差は超えることができないハンディキャップであるといわれてきたが、50年を経て、日本代表は見事にそれを覆した。日本代表のチャレンジに感謝の思いを伝えたい。 

健康教育ニュース NO.127インフル新薬「ゾフルーザ」12歳未満への投与は慎重に2019.10.17

昨シーズン、最も多く使われたインフルエンザの新しい治療薬「ゾフルーザ」を服用した患者から、この薬が効きにくい耐性ウイルスが出ていることを受け、日本感染症学会は12歳未満の子供については投与を慎重にするなどとした提言を新たにまとめた。
学会が新たにまとめた提言によると、ゾフルーザについて、12歳未満の子供は耐性ウイルスが大人より多く検出される傾向にあるため「慎重に投与を検討する」としたほか、12歳以上については「データが乏しく、現時点では推奨するかどうかは決められない」としている。
ゾフルーザについて、学会は、広く使われてきた「タミフル」とは異なる効果があり、タミフルが効かない場合や、重症化が懸念される患者に使えるため、慎重に使用することで耐性ウイルスを広げないことが重要だとしている。
新たな提言は、学会のウェブサイトに近く掲載されるということで、学会の関係者は「ゾフルーザが緊急時にも使えるよう使い方を考えるきっかけにしてほしい」としている。 *NHKニュースから

健康教育ニュース NO.128 児童生徒の自殺が過去最多 2019.10.18

昨年度1年間に自殺した小中学生と高校生は332人で、昭和63年度以降、最も多かったことが文部科学省の調査で明らかになった。一方で、亡くなった理由については、6割近くが「不明」とされていて、専門家は「子供の自殺は心理的な要因が大きいため、一つ一つの詳細な検証が再発防止に欠かせない」と指摘している。
文部科学省は、全国の小・中学校や高校から報告を受けた子供たちの自殺の件数を毎年度、公表している。
その結果、昨年度、自殺した児童生徒の数は男子が193人、女子が139人の合わせて332人で、前の年度から82人、1.3倍の増加となった。
内訳は、小学生が5人、中学生が100人、高校生が227人。全世代の自殺者数は、去年2万人余りで、ピーク時の6割ほどにまで減っているが、子供たちの自殺は昭和63年度に今の方法で統計を取り始めて以降最も多くなった。
*NHKニュースから 
心の健康・自殺予防のページ↑最下段紫帯 を参考にしていただければと存じます。

健康教育ニュース NO.129AYA世代のがん 8割近くが女性 診療・支援体制整備を2019.10.20

10代後半から30代のAYA(あや):Adolescent and Young Adult(思春期・若年成人)世代と呼ばれる人たちのがんについて国立成育医療研究センターなどが分析したところ、ほかの世代とは異なり、がんと診断された人の8割近くが女性だと分かった。
国立成育医療研究センターと国立がん研究センターは、おととしまでの2年間、全国800余りの医療機関を受診したAYA世代のがん患者について分析した。
その結果、この世代でがんと診断された人は5万7788人で、女性が4万4946人とおよそ78%を占めた一方、男性はおよそ22%にあたる1万2842人で、男性が過半数を占める上の世代での傾向とは異なるものとなった。
10代後半では男女の割合に差はなかったが、20代と30代は女性が多く、全体の35%にあたる2万666人が、早期の子宮頸がんや乳がんだった。
専門家はこの世代に応じた診療や支援の体制を整えることが必要だとしている。  *NHKニュースから

健康教育ニュース NO.130 2018年度「問題行動・不登校調査」2019.10.26

10月17日、文部科学省は、2018年度「問題行動・不登校調査」を公表した。2018年度に病気や経済的理由を除いて年30日以上小中学校を欠席した児童生徒は16万4528人で前年度比2万497人増加した。
小学生は4万4841人、前年度比9809人増
中学生は11万9687人、前年度比1万688人増
全ての学年で増加している。ここ数年では、不登校の小学生の増加、不登校の低年齢化が目立つとしている。不登校の理由は、
「家庭の状況」37.6%  「いじめを除く友人関係」27.8%
「学業の不振」21.6%  「いじめ」0.6%
となっている。
調査結果を受け、教育関係者からは「実態との乖離があるのではないか」との指摘もあり、文部科学省は、来年度、児童生徒本人から不登校になった理由等を聞き取る調査を実施するとしている。

健康教育ニュース NO.131  プラごみに「関心がある」9割 2019.10.27

10月25日、内閣府は、プラスチックごみ問題に関する初の世論調査の結果を公表した。
それによると、プラスチックごみによる海洋汚染などについて関心があると回答した人は、89.0%で、プラスチックを使った過剰な商品やサービスとして、約50%の人が弁当の小分け容器や飾り、レジ袋を挙げた。
プラスチックごみ問題について
「非常に関心がある」33.5%  「ある程度関心がある」55.5%
「あまり関心がない」9.1%   「全く関心がない」1.7%
との回答があった。
プラスチックを使った過剰なサービスとして(複数回答の結果)
「弁当の使い捨て小分け用容器や飾り」50.3% 「レジ袋」50.1%
を挙げる人が多かった。

健康教育ニュース NO.132 近視にどう向き合う? 2019.11.17

最新の研究で目の機能が低下すると認知症やうつ病、動脈硬化など様々な病気の危険性が高まる可能性があることが明らかになった。
今や近視は子供だけの問題ではなくなっている。一般的に近視になると眼球が延び、網膜で焦点が合う位置がずれ、画像がぼやけてしまう。多くの人は20代前半までに進行が収まるが、30台後半から再び近視が進行する成人進行近視や、成人発症近視の人が増加傾向にあるとされる。これは、スマホやパソコンなど、近い距離で凝視する時間が増えていることが原因ではないかと考えられている。
今、日本では視力1.0未満の子供たちが増加傾向にある。
小学生34.10% 中学生56.04% 高校生67.23%と過去最悪のレベルとなっている(平成30年度文部科学省学校保健統計調査から)。また、子供の強度近視も増えている。
強度の近視となり眼球が延びて眼の後ろの組織が傷つくと、緑内障や網膜剥離など、失明につながる病気を発症しやすくなる。強度の近視の人は、近視でない人と比べて発症の割合が、 
緑内障3.3倍 網膜剥離21.5倍 近視性黄斑症40.6倍になるとの研究もある。現在、眼球の延びを完全に止めることは難しい。黄斑変性は注射で、網膜剥離・分離は手術などによる治療法が主体となっている。
*NHKクローズアップ現代から

健康教育ニュース NO.133 近視の進行抑制、予防の研究 2019.11.18

世界で最も近視の割合が高い国の一つシンガポールでは、20歳以下の近視人口の割合が8割以上に達している。国として近視の問題に取り組み、近視の抑制に効果の可能性があるとするアトロピンという目薬を使用して、子供の近視の抑制に力を入れている。アトロピンについては、今年の8月、日本でも安全性と効果を確かめるための治験が始まっている。
また、20歳以下のおよそ8割が近視の台湾では、全ての小学校を対象に、近視抑制のため、屋外で活動する時間を増やす取組を進めている。これは、明るさ1000ルクス以上の光を週11時間以上浴びている子供は近視になりにくいとする調査結果をもとにした政策である。
屋外の体育の授業を週150分、他の授業も屋外で実施することを推奨するもので、1000ルクスの光を1日2時間浴びることを目標に掲げている。具体的には子供たちに光センサーを付けてもらい確認している。
取り組みを始めてから、視力0.8未満の小学生の割合は、
2011年の50.0%から2018年44.8%に改善されているとの結果が出ている。
オーストラリアでは、明るい光を浴びると、眼球の延びを抑える効果があるとするドーパミンが多く分泌されるという研究も行われている。
☆屋外の日向は10000ルクス~ 屋外の日陰は1000ルクス~ 
 教室の窓際800ルクス程度  教室の廊下側300ルクス程度とされている。*NHKクローズアップ現代から

健康教育ニュース NO.134 世界の青少年の約8割が運動不足 2019.11.23

WHO、世界保健機関は22日、11~17歳の青少年に推奨される少なくとも1日1時間の運動について、約8割が行っていないとの初の世界規模の調査結果を公表した。WHOの調査は、2001~2016年に146カ国の11~17歳の生徒ら約160万人を対象に実施(日本は含まれていない)。
運動不足の割合は、2016年では女子の84.7%、男子の77.6%に上る。
運動不足、全体の割合は2001年の82.5%から2016年には81%と微減したが、常に8割を上回る高い水準となっているため、「女子が運動を行いやすい環境を整備する」など、WHOは早期の対策が必要としている。
青少年期に運動を行うことは心肺機能や骨や筋肉の成長に有効で、WHOは毎日1時間以上の運動を推奨している。運動はスポーツだけでなく、歩行や体を動かして行う遊び、室内での軽い運動でもよいとしている。
 *ジュネーブ共同ニュースから

健康教育ニュース NO.135  がん 5年生存率 全体で66.4% 2019.12.15

国のがん患者の5年生存率は、最新の集計で66.4%だったと国立がん研究センターが発表した。センターのウェブサイトでは病院ごとのデータも見ることができ、患者が病院の特徴を知る参考になるとしている。 国立がん研究センターは、2011年までの2年間に全国のがん拠点病院など318の施設でがんと診断されたおよそ65万人のデータを分析した。その結果、がん医療の効果をはかる指標とされる5年後の生存率は、全体で66.4%となった。
がんの種類別で、▽生存率が最も高かったのは前立腺がんで98.8%、
▽次いで女性の乳がんが92.2% ▽子宮体がんが82.2%
▽咽頭がんが80.6% ▽腎臓がんが80.1% ▽子宮頸がんが75.0%
▽大腸がんが72.6% ▽胃がんが71.4%▽ぼうこうがんが68.4%となっている。一方、最も低かったのは▽すい臓がんで9.8%▽次いで胆のうがんが29.3%▽肝臓がんが40.4%▽肺がんが41.4%▽食道がんが45.7%
▽腎う尿管がんが49.0%だった。
大腸がんや胃がんなど5種類のがんについては、初めてがんの種類とステージごとの5年生存率が患者の年代別に出され、▼例えば大腸がんのステージ3で、▽50代の場合は82.5%、▽80代以上だと65.1%などとなっている。
*NHKニュースから

健康教育ニュース NO.136 子供の体力低下 2019.12.23

小学生と中学生の走る力といった体力や運動能力が昨年度より低下したことがスポーツ庁の調査で分かった。背景には運動時間の減少と、スマートフォンなどを見る時間が長くなっていることなどがあるとみられる。
この調査は平成20年度から全国の小学5年生と中学2年生を対象に50メートル走やボール投げ、反復横跳びなど8つの項目とともに生活習慣も調べるもので、今年度は215万人余りが対象になった。
それぞれの項目を数値化して合計した全国の平均値は昨年度と比べて小中学生の男女でいずれも低下し、特に小学生の男子では調査開始以来、最低となった。具体的には中学生の持久走で、男子が1500メートルで6秒余り遅くなり、女子は1000メートルで3秒余り遅くなったほか、50メートル走では小学生の男子が100分の5秒遅くなり9秒42となるなど、走る力の落ち込みが目立っている。
また生活習慣では部活動を含めた運動時間が1週間で420分未満、1日に平均すると1時間未満の子供の割合が増えているほか、テレビやスマートフォンなどを見る時間が長くなり、特に小中学生の男子で長時間化していることも分かった。
中学生の部活動は1週間の平均活動時間が今年度は男子が13時間32分、女子が13時間40分と、いずれも昨年度に比べて90分以上減っている。スポーツ庁は部活動の時間減少が直接影響しているとは言い切れないとするものの、子供の体力や運動能力の低下は運動時間が減り、スマートフォンなどを見る時間が長くなっていることなどが背景にあるとみている。
スポーツ庁は「ここ数年男女ともに向上する傾向にあったが、重く受け止めている。学校での改善を進めていくが、教員の負担軽減を進める中で対応には限界があり、地域の活動を充実させる必要がある」としている。
*NHKニュースから

健康教育ニュース NO.137裸眼の視力が1.0に満たない児童生徒最多2019.12.25

裸眼での視力が1.0に満たない児童・生徒の割合が、現在の方法で統計を取り始めてから最も多くなり、視力の悪化が顕著になっていることが文部科学省の調査で分かった。文部科学省は来年度、数千人規模の実態調査を行う方針で対策を検討するとしている。
文部科学省は、毎年、発育や健康の状態を把握するため、全国の5歳から17歳について学校での健康診断の結果を基に分析を行っていて、このほど、今年度の結果がまとめた。
それによると、裸眼での視力が学校生活に影響が出るとされる1.0未満の子供の割合は小学生が10年前の2009年度から4.86ポイント増えて34.57%、中学生は4.93ポイント増えて57.47%、高校生は8.27ポイント増えて67.64%だった。いずれも現在の方法で統計を取り始めた1979年度以降最多で、児童・生徒の視力の悪化が改めて明らかになったとしている。文部科学省は来年度、新たに日本眼科学会などとも協力して近視や乱視など視力の悪化の実態について、数千人規模の調査を行う方針である。
文部科学省健康教育・食育課では「視力の悪化は深刻な課題だ。現在、視力とスマートフォンの利用時間や読書時間といった生活環境との関連の調査を進めており、今後、実態調査を通じて有効な対策を検討し、啓発を進めていきたい」と話している。  *NHKニュースから

健康教育ニュース NO.138 睡眠不足の割合が増加傾向続く 2020.1.15

睡眠で休養が十分にとれてないという人は全体の21.7%に上り、増加傾向が続いていることが厚生労働省の調査で分かった。 厚生労働省はおととし11月に「国民健康・栄養調査」を実施し、無作為に抽出した全国3268世帯から回答を得た。それによると「睡眠で休養が十分にとれていない」という20歳以上の男女の割合は21.7%と、約5人に1人に上っていることが分かった。平成28年の前回調査より2ポイント上昇し、平成21年から増加傾向が続いている。
厚生労働省は健康の増進に向けて、令和4年度までにこの割合を15%にまで下げる方針を掲げているが、目標に反して睡眠不足が広がっている現状が明らかになった。1日の平均睡眠時間をみると6時間未満の人の割合は男性が36.1%、女性は39.6%で、年齢別では、男性は30代から50代、女性は40代から60代で、それぞれ40%を超えている。
睡眠時間が不足している人や不眠に悩む人は生活習慣病などになる危険性が高く、厚生労働省は「調査の結果を分析して、今後の施策に反映させていきたい」としている。    *NHKニュースから

健康教育ニュース NO.139 走る技術を学べば心は前向きに変わる 2020.4.5

パラ陸上の100mと走り幅跳びで金メダルを獲得したドイツの義足のスプリンター、ハインリッヒ・ポポフ氏は、引退後は日本代表のコーチに就任している。幼い時、自分で限界を決めない大切さに気づいたポポフ氏は挫折を成功に変える練習方法を義足の経験が様々な6人の子供たちに指導する。
子供たちには、まず基本の歩き方から徹底指導する。次に切断された足に負担をかけずにトレーニングできる水中での走り方等を紹介する。
ポポフ氏は語る「義足側の筋肉はすぐに衰えてしまう。鍛えないと将来、腰や背骨に負担がかかることがある」「足を切断した人が義足をうまく扱うには健常者の7倍の力が必要だといわれている。大変だが、きちんとトレーニングすれば強くすることができる」
また、「泣いてもいいんだよ。人生では3歩前に進むために1歩下がることが必要なときもある」「障がいがあるからできないということはない。まず自分でやってみよう。なんだって可能なんだ」と子供たちを励ます。
子供たちは、「スポーツ用の義足と出会って速く走れるようになり、あきらめていたメダルがもらえるかもしれないと思い、走ることが陸上が大好きになった」「今回の練習を通して励まし合い、共感できる友達ができた」などと語る。そして、100mを完走し、それぞれ自己ベストの記録を更新した。
*NHK奇跡のレッスンから

健康教育ニュース NO.140感染拡大の中で医療従事に携わる全ての方々へ 2020.4.16

4月16日、政府は新型コロナウイルスの感染爆発を阻止するため、緊急事態宣言対象地域を全国に拡大しました。
全国で感染防止のための医療用マスクや防護服等の不足が懸念される中、医師・看護師、医療従事に携わる全ての方々に心より感謝申し上げます。
本年は、看護制度や衛生管理の整備に生涯をささげた英国の看護師、フローレンス・ナイチンゲール生誕200年にあたります。ナイチンゲールは、戦場での看護と共に、ロンドンの医療施設長を務めるなど、病室の換気やベットの高密集状態の改善に尽力したといわれています。まだウイルスの存在が明らかになっていなかった当時、すでに隔離病室の重要性を意識していたのではないかとも考えられています。   

健康教育ニュース NO.141ゲーム依存やSNSに関わる様々なリスク 2020.4.21

健康教育ニュース NO.31 2018.6.20、でお伝えしましたが、世界保健機関(WHO)は「国際疾病分類」を28年ぶりに改訂して、オンラインゲームやテレビゲームの依存が1年以上続き、日常生活に支障を来すような状況を新たな疾病「ゲーム障害」(ゲーム依存症)と認定しました。ゲーム障害の臨床的特徴は3項目あります。
1.ゲームをする時間等、ゲームのコントロールができない。
2.ゲームが生活(学習や仕事)の中で最優先事項になっていて、生活がゲーム中心になっている。
3.ゲームを続けることで学業、仕事、家庭生活に明確な問題が起きている。 
これら全ての項目に当てはまる状況をゲーム障害と指定されました。
新型コロナウイルス感染予防のため、自宅学習を続けている子供たちにとって、ゲーム依存やSNSに関わる様々なリスクは大きな問題です。子供たちを守るため、今まで以上に家庭と学校関係者が連携していかなければならないと考えます。  

健康教育ニュース NO.142 感染症 2020.5.29

感染症は、主に(有害な)ウイルス、細菌、カビ等が動物の体内に入ることで発症します。したがって、通常の生活の中では、感染した動物や人間に接触、近づかなければ感染しないことになります。
また、ウイルス等は、もともと地球上に存在していたが今まで人間に接触することがなかったもの、過去に人間に感染したものが変異したり、毒性が強くなったりするものがあります。そのため一度体の中で抗体ができても、新たに感染、発症する場合があります。
感染経路は主に接触感染、飛沫感染(病原体を含む咳・くしゃみ・会話によるつばなどの飛沫)、空気感染(空気中に漂う病原体)があります。したがって、予防には、人と人との距離を保つこと、換気、手洗い、マスクの着用が有効であると考えられます。そして、感染の可能性がある物、場所の消毒も必要です。また、十分な睡眠・バランスのとれた食事・適度な運動など、体内の免疫力を高めることも大切です。
過去には、天然痘、ペスト、スペイン風邪(*名称には諸説あり)、コレラ、インフルエンザ等が世界中で猛威を振るいました。新型コロナウイルス感染症の対応について過去の歴史から学ぶことも必要であると考えます。
一日も早い治療薬、ワクチンの開発が望まれます。 

健康教育ニュース NO.143 WHOがマスク着用の指針を転換 2020.6.6

5日、WHO(世界保健機関)は新型コロナウイルスをめぐるマスク着用の指針を変更し、公共の場での着用を推奨すると発表した。マスクで「感染力があるかもしれない飛沫を遮断」できると示す、新たな研究結果を踏まえた対応だとしている。
WHOは以前、健康な人がマスクを着用すべきだと判断するには十分な証拠はないと主張していたが、「各国政府に対し、一般市民のマスク着用を奨励するよう助言する」と、WHOの疫学者で新型コロナウイルス感染症の対応を率いるマリア・ファン・ケルクホーフェ博士は述べた。
また、ケルクホーフェ博士は新指針について、一般市民に「医療用マスクではなく、布製のマスク」の着用を推奨するものだとロイター通信に述べた。
医療用マスクについてWHOは一貫して、病人とその世話をする人のみが着用すべきだと助言してきた。
WHOはまた、マスクは感染リスクを減らす道具の一つにすぎず、マスクさえしていれば大丈夫だと安心してはならないと強調した。
                     *NHKニュースから

健康教育ニュース NO.144  眼軸近視の予防       2021.1.24

以前に健康教育ニュースで取り上げた、子供たちの近視がさらに進行している。それは、コロナ禍で子供たちの「近業」(30cm以内の距離を見る作業)の時間が増えていることが原因であると考えられる。
眼軸とは角膜から網膜までの長さのことで、30cm以内の極めて近い距離を見るとき、眼球は水晶体では焦点を調節できず、眼軸を延ばして焦点を合わせようとする。近業を続けることで眼軸は延びたままとなり、元には戻らなくなってしまう。その結果、遠くの物がボケて見えずらくなる。この状態を眼軸近視という。現在、眼軸が大人の平均24mmより長くなっている子供が増えてきている。眼軸近視の子が多くなっているということである。
連続20分以上の近業、1日2時間以上の近業が眼軸近視のリスクになるといわれている。
眼軸近視の予防には、上記のリスクを避けること、そして、屋外で1000ルクス以上の光を2時間程度浴びることが推奨されている。近視が進行しやすい子供のときに眼軸の延びを抑えることが重要である。                                   NHKスペシャルから

健康教育ニュース NO.145 コロナうつ 高校生の3割に症状 2021.2.23

新型コロナウイルスの社会生活への影響の長期化で子供のうつ症状が深刻化していることが国立育成医療研究センターによる調査で分かった。
調査は昨年11月~12月にインターネットで実施された。小学4年生~高校生の計715人から、直近1週間の心の状態を調査、「気分が落ち込む」など9項目について「ほとんど毎日」から「全くない」までの4段階で回答を得た。
その結果、高校生344人の30%、中学生110人の24%、小学生261人の15%に中等度以上のうつ症状があることが判明した。
調査に携わった医師は「長期間に及ぶコロナ禍のストレスで、うつ症状が増えているのではないか」「子供はストレスを自覚し発散することが得意ではない。周りの大人は子供に共感し話を聞いてあげてほしい」と訴えた。

健康教育ニュース NO.146 小中学生の近視調査      2021.4.20

本講習会でも度々取り上げているが、視力1.0未満の小中学生の増加傾向が2014年度から続いている。2019年度の学校保健統計調査では視力1.0未満の小学生は34.57%、中学生は57.47%で、いずれも過去最多の結果であった。
近視になる過程には様々な要因があるが、近視が進行すると、成人してから網膜剥離や緑内障等、眼病のリスクが高くなり、最悪、失明につながる場合があるとの指摘もある。
今年度から学校現場でデジタル端末を活用した授業が全国で本格化するなか、文部科学省は、日本眼科医会の協力を得て、小中学生の近視調査を実施する。調査は、5~6月に小学1年生~中学3年生の計9000人を対象に、検査技師が専用の機器で「眼軸長」*(健康教育ニュースNO.144↓参照)を測定する。同時に生活習慣に関するアンケートも実施し、視力への影響を分析、子供の近視を予防する対策につなげる考えである。

健康教育ニュース NO.147  がんの10年生存率が59.4%に 2021.4.27

27日、国立がん研究センターは2008年にがんと診断された患者約23万8000人の10年後の生存率が全体で59.4%だったと発表した。
(各部位) 10年生存率      5年生存率
前立腺がん 98.7%        98.5%
乳がん   87.5%        92.1%
子宮頸がん 70.7%        75.2%
大腸がん  67.2%        72.6%
胃がん   66.0%        72.1%
膀胱がん  65.1%        66.8%
肺がん   34.5%        46.8%
食道がん  33.6%        47.5%
肝臓がん  21.8%        44.7%
すい臓がん  6.5%        11.9%
*5年生存率は2012~13年にがんと診断された患者から集計がんの早期診断(発見)、早期治療につなげるため、学校でのがん教育をさらに推進していきたい。

健康教育ニュース NO.148  視力1.0未満の児童生徒過去最多 2021.7.29

文部科学省は7月28日に平成2年度の学校保健統計調査の結果を公表した。
裸眼視力1.0未満の小学生の割合は前年度比2.95増の37.52%、中学生の割合は前年度比0.82増の58.29%で、いずれも過去最悪となった。また、幼稚園児の割合は前年度比1.84増の27.90%、高校生の割合は前年度比4.47減の63.17%だった。
文部科学省は「GIGAスクール構想」実施等による視力への影響を調べるため、今年度から全国小中学生約9000人を対象に近視の実態調査を行っている。*(健康教育ニュース NO.146 小中学生の近視調査参照)
今回の学校保健統計調査の結果を受け、視力低下の原因は、コロナ禍で、スマートフォン等のデジタル端末を近距離で凝視する時間が長くなったことが原因ではないかとの指摘もある。いずれにせよ、視力低下改善への取り組みが急がれる。

健康教育ニュース NO.149 パラリンピック陸上女子 高田 千明 選手2021.8.27

東京パラリンピック陸上女子走り幅跳び(ポジション/クラスT11視覚障がい) の高田 千明 選手は、27日に行われた決勝に出場しました。
優勝記録が5m00というハイレベルの闘いの中、高田 千明 選手は自身が持つクラス日本記録を更新する4m74の跳躍で見事に5位入賞を果たしました。
コロナ禍で残念ながら会場での応援はできませんでしたが、テレビ観戦を通して多くの方に、夢を実現させるために努力を続けることの大切さを伝えていただいたと思います。ありがとうございました。

健康教育ニュース NO.150 コロナ禍で多くのストレスを抱える児童生徒 2021.10.13

文部科学省は全国の国公私立の小中学校と高校、それに特別支援学校を対象に、毎年行っている不登校やいじめ、自殺などの状況調査について、13日、昨年度の結果を公表した。
それによると、病気、経済的理由、感染回避などを除いて、学校を30日以上欠席した不登校の小中学生の人数は、前年度から1万5000人近く増えて19万6127人と過去最多となった。
不登校の子どもの割合も、この10年で小学生は3倍に増えて100人に1人に、中学生は1.5倍に増えて24人に1人となっている。
いじめのなかで、パソコンや携帯電話などでの中傷や嫌がらせは、前年度から946件増え、1万8870件で過去最多となった。
自殺した児童生徒は小学生が7人、中学生が103人、高校生が305人となり、あわせて415人と前年度から100人近く増えて過去最多となった。                       *NHKニュースから
今まで以上に児童生徒がSOSを発信しやすくなるような取組が求められている。なお、厚生労働省は電話やSNSで悩みを相談できる窓口「まもろうよ こころ」を開設している。 *不登校の頁、心の健康・自殺予防の頁 参照

健康教育ニュース NO.151 小中学生の発達障がい1学級に3人の割合か 2022.12.14

文部科学省は13日、小中学校の通常の学級に在籍する児童生徒のうち8.8%にADHDなどの発達障がいの可能性があるとする調査結果を発表した。
このうち、週に1,2回クラスを離れて個別に学習する通級指導を受けている児童生徒は1割にとどまり、支援が行き届いていない実態が明らかになった。また、今回初めて公立高校も対象に調査が行われ、発達障がいの可能性がある生徒の割合は2.2%だった。今回の調査は今年の1~2月全国の小中高校生約9万人を抽出して実施され、回答率は84.6%だった。文部科学省が「著しく困難がある」と判断した割合は小中学校で8.8%、前回の2012年2~3月の調査6.5%と比較して、増加している。
コロナ禍、困難を抱える児童生徒への適切な対応・指導の充実が急がれる。さらに対象の学級を担当する教員へのサポート体制の構築も重要課題である。

健康教育ニュース NO.152 がん10年生存率が53.3%に 2023.3.17

国立がん研究センターは15日、2010年にがんと診断された約340000人の患者の10年生存率が53.3%であったと発表した。今回から国際的な算出方法を採用(がんのみが死因となる場合の生存率をより正確に推定)したことから、前回調査(2009年)とは単純に比較はできないが、同センターは「生存率改善の傾向は続いている」と説明している。同センターは、全国のがん診療連携拠点病院など316施設の341335人について10年後の生存率を算出した。 *以下、主ながんの10年生存率(%) 全体 53.3
食道  31.5  胃  57.6  大腸 57.9  肺 30.8  
乳がん(女性)83.1 子宮頸 68.1  前立腺84.3  腎  65.7  
ぼうこう  50.1  膵臓 5.4

健康教育ニュース NO.153  子どもの睡眠調査 2023.3.18

世界の中で日本人の睡眠時間は短い傾向にある。理化学研究所と東京大学の研究チームは、眠る時間、途中で起きる回数等、睡眠の時間・リズム・質を測定することで健康な睡眠を探る研究を2022年10月から開始した。2025年末までに小中高校生合わせて約50000人を対象に腕時計型の装置を使い調査する。
プロジェクトを通じて、次の目標の達成を目指す。*理化学研究所HPから1.子どもの定量的な睡眠測定に対するハードルを下げ、日本の子どもの睡眠の実態把握を容易にする。
2.学校での健康教育の一環として、睡眠改善のための取り組みを効果的に実施できるようにする。
3.参加者には自分の睡眠パターン、生活パターンを把握し、自身の生活習慣改善・健康に対する意識向上につなげてもらう。

上記の研究結果を学校での健康教育に生かしていきたい。

健康教育ニュース NO.154  子どものこころの状態、今   2023.5.2

1日、国立成育医療研究センターの発表から、子どもの抑うつ傾向が新型コロナウイルスの感染拡大以降、高止まりしていることがわかった。
国立成育医療研究センターの2020年12月、2021年12月、2022年10月の計3回の調査結果(全国の小学5年生~高校1年生延べ10680に回答を依頼・有効回答率50~60%)から、抑うつ傾向が中程度以上だった児童生徒は10%を超えていることがわかった。
国立成育医療研究センターはこの調査で思春期の子どもを対象とする国際的な指標を採用。「気分が落ち込む」等、9項目について質問した。
同センターは「子どもは抑うつに自分では気付きにくい。感染症法上の位置付けが5類に引き下げられた後も、周囲の大人は子どもに引き続き寄り添い、腹痛や頭痛、怒りっぽくなるなどの異変があったら声をかけてほしい」と話している。
教育関係者は、カウンセリング等、指導・見守りの参考にしていきたい。

健康教育ニュース NO.155 新型コロナウイルス5類移行後の対応 2023.5.3

5月8日以降、法律で定めた感染症の分類(危険度に応じた分類)で、新型コロナウイルスが2類相当から5類に引き下げられる。季節性インフルエンザと同じ扱いになる。強制的な行動制限はなくなり、マスクの着用は、一人一人の判断にゆだねられる。学校現場での対応は、従前の季節性インフルエンザへの対応と同等になる。うがい手洗いの励行、体調不良時の検温・マスク着用等は、再度確認する必要があるが、熱中症が心配されるこれからの時期にマスクを外すことができれば、体調を管理しやすくなる。
<5類移行後の対応・主な変更点>
・感染者の待機    7日間        →   5日間を目安
・新規感染者の把握  全数        →   定点で把握
・初期の診療     主に発熱外来    →   医療機関
・マスク       屋内は着用     →   個人の判断
*検査・治療費等は公費から自己負担が生じる場合がある。

*感染症法上の分類(代表例) 
 1類 エボラ出血熱、ペスト 
 2類 結核、SARS 
 3類 コレラ、腸チフス 
 4類 黄熱病、狂犬病 
 5類 季節性インフルエンザ、新型コロナウイルス

健康教育ニュース NO.156 
都内の公立小中高校「不登校」の児童生徒数が過去最多 2023.10.12

東京都教育委員会による調査で、昨年度、都内の公立小中高校で、病気や経済的な理由以外で30日以上登校しなかった「不登校」の児童生徒数の合計は30843人となった。これは前年度に比べて27%増えていて、14年前に統計を取り始めて以来、最多だということである。
小学校が10695人  前年度に比べ、35%増 
中学校が16217人  前年度に比べ、19%増
高校が 3931人   前年度に比べ、41%増
このうち、小中学校は不登校の子どもの割合が10年連続で増えていて、中学校では、15人に1人が不登校の経験があったということである。不登校の理由について小中学校では「無気力・不安」がおよそ6割を占めていて、都の担当者は「コロナで学校へ行く機会が減って生活のリズムを崩し、そのまま不登校になった子どもが増えているのではないか。学校以外の学びの場をいかに提供していくか検討していきたい」と話していた。また、いじめの認知件数も小中高校と特別支援学校で、あわせて66314件と10年前に統計を取り始めて以来、最多となった。                                     *以上NHKニュースから
東京都だけの課題ではなく、全国的な改善の取り組みが必要である。悩み、困難を抱えている目の前の子どもたち一人一人を救っていかなければならない。

健康教育ニュース NO.158 厚生労働省「睡眠ガイド2023」2024.2.27

今月、厚生労働省は「健康づくりのための睡眠ガイド2023」を策定した。その中で厚生労働省は、睡眠による休養を十分に取れない人が増えている実態から、年代別の睡眠時間の目安や、良質な睡眠をとるために推奨される取り組みなどを示した。
*睡眠ガイド2023のポイント
・子ども 小学生は9~12時間 中高生は8~10時間の睡眠時間を確保する。
     朝食をとり、日中は運動し、夜はできるだけ早く就寝する。
・成人  6時間以上を目安に必要な睡眠時間を確保する。     
     休日等の寝だめは「体内時計」を狂わせ、健康を損なう危険性が
     あるので注意が必要。
・高齢者 「床上時間」が8時間以上にならないように気を付ける。
     日中は長時間の昼寝を避け、活動的に過ごす。
睡眠の質向上 寝る前はスマートフォン等を見ない。部屋はできるだけ暗く
     して寝る。就寝直前の食事や飲酒は控える。カフェインの摂り過
     ぎ(摂取量400mg・コーヒー700mlを超える量)に注意する。

健康教育ニュース NO.157 がん教育に外部講師の活用を 2024.2.26

国内における死因の第1位であるがんは、統計上、一生のうちに2人に1人が罹患するといわれている。がんに対する正しい知識を子どもたちに身に付けさせ、健康と命の大切さを主体的に考えさせることは、健康教育の重要な役割である。一方、がん教育の充実には、医師やがん経験者などによる外部講師の活用が必要となるが、文部科学省の調査からは、いまだ十分に活用が図られていない状況にあることがうかがえる。
*外部講師を活用した学校(2022年度 文部科学省調査から)
・小学校 9.5% ・中学校 14.7% ・高等学校 11.7%
上記の調査結果から、外部講師が十分に活用されていないことについて、様々な要因が考えられるが、教育現場が置かれている状況を考えれば、公的機関が講師をリストアップしたものを、各教育委員会に紹介し、いつでもそこから学校が選択、交渉ができるようにする必要があるかもしれない。(ただし、プライバシー保護の課題はクリアーしなければならないので、簡単なことではないが、推進する価値はある)

 

以下は過去資料等の保存領域です。

台風19号豪雨災害、河川の氾濫や土砂災害などで犠牲になられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆様、避難生活を送られている皆様の一日も早い復興をお祈り申し上げます。
阪神・淡路大震災から24年、犠牲になられた6434名の方々のご冥福をお祈り申し上げます。兵庫県の「震災・学校支援チーム」が国内に派遣した教職員数は2000年の開始から延べ500人を超えました。他県でも同様の取組が行われるようになりました。  
大阪北部地震、西日本豪雨、北海道地震 、度重なる災害で避難生活をされている皆様、ボランティアの皆様、寒さ対策、インフルエンザ等の感染症に十分ご注意ください。

 

全国各地域の健康教育に関わる指導者の皆様のご協力のもと、健康教育指導者講習会ホームページは公開から1周年を迎えることができました。心より感謝申し上げます。これからも日々、資料を追加、更新してまいります。引き続きご協力をお願いいたします

 

東日本大震災から10年の月日が流れました。あらためて震災で犠牲になられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。復興が進む一方、いまだ避難生活を送られている方々もおられます。ふるさとを離れ、時にはつらい思いに耐えた子供たちも成長しました。子供たちに寄り添い、心身共に子供たちの成長を支えてくださった全ての皆様に心より感謝申し上げます。この教訓を決して過去のものにしないためにも、健康教育を深化させ、推進していかなければならないと考えます。

 

This is a summary of the year in December. Dear educators and medical professionals, Please promote health education for all children.